2016年3月17日23時07分
トンネル内で突然上がった炎と煙。逃げ惑うドライバーたち……。広島県東広島市の山陽自動車道で17日に起きた多重事故では12台が絡み、介護職員の女性ら2人が亡くなった。負傷者が67人にも上った惨事はなぜ起きたのか。
関西と九州方面を結ぶ大動脈として物流や通勤に使われる山陽道。会社員の女性(39)は午前7時すぎ、広島県東部の三原市から広島市方面へ軽乗用車を走らせていた。「速度落とせ 渋滞中」。下り線の八本松トンネル(全長844メートル)の手前に設置された電光板に表示されていた。
女性の車が2車線のトンネルに入ると、ハザードランプをつけた車が左車線に停止していた。その後ろに車を止めた女性がバックミラーを見ると、数台を挟んで後ろにいたトラックがどんどん近づいてきた。「バーン」「ガシャーン」。クラクションが鳴り響いたあと、追突の激しい衝撃が女性を襲った。
女性の車は右車線にはね飛ばされ、横転した。女性は割れた窓ガラスからはい出るようにして外へ。誰かから「大丈夫か」と声をかけられ、「(自分は)生きてる」と思ったという。
周りには同じようにはね飛ばされた4~5台の車。後ろから走ってきたトラックの前部と追突されたらしい車の後部付近から炎が上がり、トンネル内に煙が充満し始めた。「とにかく、ここから離れなきゃ」。手や足に傷を負っていた女性は事故時や保守点検の際に使われる「避難連絡坑」を通って上り線に出て、トンネルの出口をめざした。出口までの距離がどれほどあったか分からないという。
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朝日新聞社会部
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