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【大相撲】

稀勢の里4連勝 琴奨菊躍進を刺激に奮闘

2016年3月17日 紙面から

栃ノ心を寄り切りで下した稀勢の里(左)(横田信哉撮影)

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◇春場所<4日日>

(16日・エディオン アリーナ大阪)

 初場所で同じ一門の琴奨菊に日本出身力士優勝を先にさらわれた大関稀勢の里(29)=田子ノ浦=が、栃ノ心を寄り切って初日から4連勝。ライバルに負けていられないとの思いが、土俵にみなぎっている。綱とりがかかる琴奨菊も、小結宝富士を危なげなく寄り切って4連勝とした。横綱陣は安泰でいずれも3勝目。日馬富士は高安を、白鵬は隠岐の海をそれぞれ押し出し、鶴竜は琴勇輝をはたき込んだ。かど番の照ノ富士が勢の寄りに屈し、初黒星を喫した。

◆栃ノ心寄り切る

 次は自分だ。初場所も同じ4日目に対戦し、そのときは屈している栃ノ心を、万全の体勢で寄り切った。優勝へのたぎる思いが稀勢の里を突き動かす。

 「気持ちで負けないように。思い切っていこうと思った。状態はいいです」

 初場所の千秋楽。琴奨菊の10年ぶりとなる日本出身力士Vで沸く国技館を、9勝に終わった大関は静かに去った。同じ二所ノ関一門。本来なら一門の関取衆は紋付きに着替えて支度部屋で万歳をする習わしがある。そこに稀勢の里の姿はなかった。

 師匠である田子ノ浦親方(元幕内隆の鶴)がこう代弁した。「紋付きは最初から国技館に持って行かなかった。おめでとう、という気持ちはあったでしょうが、ほとんどが悔しいという気持ちでしょう。その気持ちは分かる」と。勝負師として素直な行動だった。

◆全て受け止める

 初場所後、琴奨菊の話題を何度も振られた。それが嫌ではなかったかと聞かれた大関は「別に。そんなことない。同じ一門ですから。(自分がと)言えるような成績じゃなかった」と全てを自分自身で受け止めた。

 琴奨菊は稀勢の里をこう評している。「稀勢の里が一番強いと思う。やっぱり日本というか、日本人優勝は(みんな)稀勢の里だと思ったと思うんですよね」と。それを聞いて、全てバネにすればいい。

 初日から4連勝は3場所ぶり。5日目の嘉風に勝てば、初日から13連勝して白鵬と優勝争いを演じた2013年夏場所以来、3年ぶりの5連勝が待っている。

 壁を越えて突き抜けるか。かつてこう話していた。「相撲に勝つことが一番うれしい。つらいこととかがほとんどなんだけど、一番勝つだけでそのつらいこととか忘れてしまうくらいうれしい」。純粋な気持ちを重ねた結果が、優勝へとつながっていく。 (岸本隆)

 

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