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抜本的見直し求められた原子力規制3月11日 5時08分
東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて日本の原子力規制は抜本的な見直しが求められました。
規制機関の独立性
事故から1年半後の平成24年9月、新しい規制機関、原子力規制委員会が発足しました。事故前の原子力安全・保安院は、原発を推進する経済産業省のもとにあり、「規制」と「推進」が混在する状態でした。これについて国会の事故調査委員会は推進側からの独立性が形骸化していたことから「事業者の虜」となり、必要な規制が電力会社の抵抗で先送りされてきたと批判しました。こうした反省から規制委員会は、ほかの省から指示や監督を受けず、独立性の高いいわゆる「3条委員会」に位置づけられました。電力会社などの推進側と一線を画した規制が実現できるのか、厳しい目が向けられています。
安全規制の見直し
制度も見直されました。事故から2年たった平成25年、原発の新しい規制基準が施行されました。これまで電力会社の自主性に任せていた重大事故対策を義務づけたほか、地震や津波への対策を強化しました。原発の運転期間を原則40年に制限する新しい制度も導入され、運転の延長には原子炉などの劣化状況を調べる特別点検や審査が別途求められることになりました。
こうした見直しで電力会社が対応を迫られるケースが増えています。運転延長を目指す美浜原発3号機など福井県にある原発について関西電力は地震の揺れの想定を厳しく見直すよう求められました。新しい規制基準では地下の構造などをより詳しく調査し、十分に評価することとされています。美浜原発の場合、震源の深さを巡る調査や評価が不十分とされ、想定する揺れの強さをそれまでの1.3倍に引き上げることになりました。これに伴い、設備の耐震性も見直しが必要か検討が続けられ、ことし11月末の期限までに延長が認められるか、予断を許さない状況です。
こうした見直しで電力会社が対応を迫られるケースが増えています。運転延長を目指す美浜原発3号機など福井県にある原発について関西電力は地震の揺れの想定を厳しく見直すよう求められました。新しい規制基準では地下の構造などをより詳しく調査し、十分に評価することとされています。美浜原発の場合、震源の深さを巡る調査や評価が不十分とされ、想定する揺れの強さをそれまでの1.3倍に引き上げることになりました。これに伴い、設備の耐震性も見直しが必要か検討が続けられ、ことし11月末の期限までに延長が認められるか、予断を許さない状況です。
人材の確保・育成
独立性や厳格な規制を実現するために必要なのが、専門性の高い人材と、規制の透明性です。まず人材の確保と育成は規制委員会の当面の最大の課題といえます。原発の審査や検査を担う事務局の原子力規制庁には900人余りの職員がいますが全国の半数以上に当たる16原発26基が再稼働の前提となる審査を申請し審査や検査の専門性の高い職員は不足しているのが現状です。人員がひっ迫していることから、職場を離れ、専門性を高めるための研修を十分受けさせられないという状況も生まれています。
国会の事故調査委員会はかつての規制当局は専門性の面で電力会社より劣っていたことが、「事業者の虜」となった原因の1つだと指摘しただけに、能力の高い人材の確保は急務となっています。
国会の事故調査委員会はかつての規制当局は専門性の面で電力会社より劣っていたことが、「事業者の虜」となった原因の1つだと指摘しただけに、能力の高い人材の確保は急務となっています。
透明性高めることもポイントに
規制の内容や審査の経緯などの透明性を高めることも改革のポイントになりました。規制委員会は、審査会合などを原則公開し、インターネットでも映像や議事録を出して、一定の改善はしています。しかし、「内容が専門的で分かりにくい」「公開の場で行われない電力会社とのやり取りが、十分に開示されていない」といった指摘があり、こうした指摘に応えていくことが求められています。