政府は11日、観光立国推進閣僚会議を開き、東南アジア向けの査証(ビザ)の発給要件を今夏から緩和する方針を正式決定した。タイとマレーシアはビザ取得を免除、ベトナムとフィリピンは期限内であれば何度でも訪日できる数次ビザを発給する。政府は訪日客数を2013年に前年比2割増の1000万人にする目標を掲げており、即効性のあるビザ緩和を起爆剤に確実に達成したい考えだ。
タイやマレーシアは現在、数次ビザの発給にとどまっているほか、ベトナムとフィリピンは入国が1回限りの一次ビザしか発給していなかった。インドネシアはすでに発給している数次ビザで滞在できる期間を延長する。東南アジア向けではシンガポールからの訪日客がすでにビザの取得を免除されている。
日本政府観光局(JNTO)によると、タイとマレーシアからの訪日客数は1~4月に計18万7000人と前年同期比で約4割増えた。所得水準の向上に伴い、海外旅行者が急増している。政府は13年に東南アジア全体からの訪日客を100万人に増やす方針で、ビザ緩和で取り込みを加速する。東南アジアからの観光客を対象にしたビザ緩和で先行する韓国に対抗する狙いもある。
ビジネス目的の訪日客の取り込みも強化する。国際会議の参加者などビジネス客を対象に専用の入国窓口を設置する。