東京大学とリコー、ブルーイノベーションが、ドローンに超広角ステレオカメラおよび IMU(加速度・イナーシャ)センサーを搭載し、GPS が使えず障害物がある室内でも自動飛行できる技術を開発しました。倉庫や工場などにおける高所の精密目視点検や警備などに応用可能です。

屋内を飛ぶドローンといえば、2月には DARPA が障害物を自動で避けて飛行するドローンのデモ動画を公開していました。自動運転車が周囲の状況を認識するのに重要な役割を果たす LIDAR システムを搭載するなど、高度な技術を採用しているものの、想定する用途は市街地戦での建物内の斥候など。あくまで軍用に開発している技術でした。

今回リコーらが発表した技術を適用したドローンは、DARPA のものと同じく屋内での自動飛行が可能。ただ障害物の認識には超広角のステレオカメラを使っているところが特徴で、人間の眼と同じ役割を産業用3Dビジョンセンサー「SV-M-S1」の技術を応用したステレオカメラに受け持たせ、IMU センサーで姿勢を安定させます。

安定して障害物を避けて飛行できるため、用途としては背の高い構造物の点検や屋内での警備・監視業務、さらに物流といった幅広い業種に応用が期待されます。工場なら天井クレーンのような設備の目視点検や、倉庫のラックの高い段の点検などが実施できるため、人にとっては危険がともなう高所作業の機会を減らすことができます。

屋外の用途においても、たとえば GPS に頼って飛行を安定させている通常のドローンだと、橋梁やトンネル内の点検作業で構造物の下に入ったとき、GPS 信号が拾えずに姿勢を乱してしまい、自動では飛べない場合があります。リコーらの技術ならば、最初から GPS に頼らないため、問題なく点検作業を進めることができそうです。

リコーは今後、実証試験を経て技術の実用化、ドローンの有効利用を促進していきたい考えです。

ちなみにリコーは、3月24~26日に幕張で開催の「ジャパン・ドローン 2016」で、この技術を使ったドローンのデモ飛行を実施するとのことです。
ドローンの室内自動飛行技術、東大・リコーらが開発。ステレオカメラで物体認識、GPSに頼らず安定飛行

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