★中華人民毒報
清原和博容疑者の逮捕をきっかけに、薬物汚染の実態に注目が集まっている。警察庁の統計によると、’14年の薬物事犯検挙人員は1万3121人。人口10万人あたりの検挙人数は約10人という計算になる。
しかし、これを遥かに凌ぐのが、中国の薬物汚染だ。当局が発表した統計によると、’15年に検挙された人数は前年比20%増となる約106.2万人。人口10万人あたり約78人が薬物を乱用していることになるのだ。
深センの不動産会社勤務・岡本宏大さん(仮名・29歳)は、薬物汚染ぶりについてこう話す。
「深夜のカラオケボックスでは、酒とは明らかに違う酩酊状態の連中をよく見かける。だいたい若い女が一緒なんですが、彼女たちは酒ではなく、一緒にドラッグをやるための出張ホステスで、『氷妹』(氷は覚せい剤の意)と呼ばれている。追加料金を払えばセックスもさせてくれるようです」
日本と同様、安価で手軽な危険ドラッグも蔓延している。上海市在住の留学生・鳥井慶太郎さん(仮名・28歳)の話。
「『開心水(ハッピーウオーター)』という液体が、ハイになれると学生の間ではやっていました。4000円くらいで売られているミニボトルに入った液体で、直接飲んだり、カクテルに混ぜたりして飲むんです。堂々と売られていたんですが、昨年末頃から取り締まり対象になり、一気に姿を消した。成分は脱法ドラッグを装った完全に違法なものだったようです」
中国で広がる薬物汚染の一因として、「罰則の軽さ」を挙げるのは、中国事情に詳しいジャーナリストの富坂聰氏だ。
「中国では、薬物の密売には死刑を含む厳しい刑罰が科されますが、乱用者に対する罰則は意外なほど軽微です。所持量や薬物の種類にもよりますが、刑事罰としては2週間の拘留のみという場合が多い。依存者は本来、『戒毒所』と呼ばれる更生施設に収容されることになってますが、全国的に定員オーバーなので、最近ではそのまま釈放ということも多いようです」【続きを読む】