21世紀タイムズ


任天堂、消費者からのゲームソフトの返金請求に応じる 倉敷簡易裁判所で少額訴訟


 岡山県倉敷市で平成26年7月、ダウンロードができていないのに購入代金の返金に応じないのは不当として、同市に住む女性が任天堂株式会社(京都府京都市)に対し売買代金の返還を求めた少額訴訟が3日、倉敷簡易裁判所であった。同裁判所において当日、任天堂側が女性側に対し相当の解決金を支払うことで合意、和解が成立した。

 訴状によると女性は、平成26年4月に任天堂の家庭用ゲーム機「WiiU」で使用するゲームソフトを6,156円でニンテンドーeショップで購入。しかし、女性が何度試みてもダウンロードが完了できなかったため、任天堂に対し購入の取り消しと購入代金の返金を求めていた。

 これに対し任天堂は、ダウンロードができなかったのはお客様の通信環境のせいかお客様のWiiUに問題があるかのどちらかで当社に責任はなく、返金に応じる必要もないなどとの回答を行なっていた。同サービスではユーザーがダウンロードをする前に料金を先払いしておかなければならない仕組み。

 任天堂株式会社は明治時代創業の老舗玩具メーカー。20世紀の後期に発売した家庭用テレビゲーム機「ファミリーコンピューター」がファミコンの愛称で大ヒット。その後事業を大幅に拡大した。ところが、21世紀に入り業績は急激に悪化。主に海外の投資家から事業の立て直しを強く要請されており、発表によると任天堂の株式はその大部分をコンプライアンス精神を重視する米国の投資家が保有。近年は米国向け事業に注力し国内シェアは降下の一途をたどっている。

 この少額訴訟は平成26年5月に提訴され、伝説の任天堂最強法務部(中村元気弁護士:京都弁護士会)は自社の規約に基づき京都地方裁判所への移送を求めていたが、移送する理由がないとして却下されていた。任天堂株式会社はこの件につき、特許権侵害訴訟における勝訴の発表等とは対照的に、現在のところ一切の報道発表や株主、消費者への情報提供を行なっていない。

【考察ページ】実例で考えるゲームソフトのオンライン販売における配信トラブルと少額訴訟による返金請求についての実務

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