テリオンの小説入門
描写のコツ
描写のコツ
はい、今回は描写のコツです。
今回は地の文、天の文どちらにも使える描写のコツを発表します。
【五感を駆使する】
どういうことかと言うと、主に一人称作品で使える手法です。
・僕の目から見ても、彼は生きていないと思った。
・確かに僕の耳には助けを求める声が聞こえた。
・この匂いはしっている。硫黄だ!
・「この味は……青酸カリ!?」
・僕は横たわる少年を抱き上げる。まだ温かい……死なせるもんかっ!
上から視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の描写やセリフです。
【比喩表現】
比喩表現とは物事を別の共通項目のある物で例える手法です。
1:彼女はりんごのように真っ赤になって恥ずかしがっている。
2:ここも朱に交われば赤くなるだったんだ。
3:火山が怒りを表したように噴火する。
4:俺は結局社会の歯車の一つでしかなったんだ。
はい、1は皆さんもよく見かける比喩表現ではないでしょうか?
2はどういうこと? と思う人もいるでしょう。 実はこれ上級者向きの比喩表現で、専門用語で【諷喩】といいます。
2の描写を噛み砕くなら、立派だった人が周囲のダメ人間に影響受けて(染まって)ダメ人間になったという意味を匂わせたい時に使った感じです。
3は最近流行りの擬人化法、つまり、物事を人で表す手法です。
4は3の逆で人を物に例える擬物化法とよばれる手法です。
【強調表現】
1:浮気がバレた。彼女は般若のような顔で僕を睨む。
2:昨日彼女とキャッキャウフフした。
3:次はいいことあるさ。多分……きっと……メイビー……
4:暑い! 太陽は燦々と輝き、アスファルトは照り返しによる陽炎ができている。とにかく暑い。
強調表現とは物事を強く表現する手法です。
1は誇張法です。語尾に「~のような」を付けて使われます。
2は緩叙法と呼ばれるはっきりと言わないけどわかるでしょ? という表現手法です。
3は漸層法と呼ばれる幾つもの表現で物事を強くしたり、弱くする手法です。
4は反復法と呼ばれ、同じ意味を持つ言葉を繰り返すことで気持ちを伝えます。暑いの一言で済ますのと4の表現だとどっちがより暑く感じます?
【変化表現】
1:武田信玄は甲斐の虎と呼ばれ、上杉謙信は越後の龍と呼ばれた。
2:あれは古アルトリア歴45年、その年に起きた大災害が古アルトリア王朝崩壊の序曲となった。
3:告白したら「君はいい人だから友だちでいたい」なんて言われた。
4:彼の成績は下から数えたほうが早かった。
はい、変化表現ってなんですか? と思った人も例文を見たら意味がわかったのではないでしょうか?
1は対照法と呼ばれ、相反する二つの事柄を述べることによって、両者の違いをはっきりさせる手法です。
2は現在法と呼ばれ、現在から見て過去の話を描写する手法です。主に戦記や歴史物で使われています。
3は湾曲法と呼ばれる手法です。オブラートに包むなど物事を遠回しに言って察しろ、空気読めと思わせる手法です。
4は側写法と呼ばれる物事を別の側面から表現する手法です。
今回の話には実は裏のテーマがあります。
それは前にお話した【知識は武器に、経験は権威となる】の意味を知らせるテーマです。
皆さん、私がこうやって専門用語を並べて例題文とか出して説明してましたが、偉いなぁとか思いませんでしたか?
これが【知識は武器に、経験は権威となる】の手法です。
私はあくまで一般人ですよ。