テリオンの小説入門
キャラクターに行動と意味を持たせろ
キャラクターに行動と意味を持たせろ
はい、今回はキャラクターに行動と意味を持たせろです。
皆さんは小説を書いて感想で「~~ってキャラ空気だよね」とか書かれませんでしたか?
もしくはメインヒロインのはずなのにインパクトが足りなかったり、ただの属性つけたCPUじゃんって言われたことないですか?
そんな貴方に今回のノウハウです。
【ストーリー・ヒストリー・フィロソフィーを持たせろ】
ストーリー・ヒストリー・フィロソフィーってなに? という人のための説明。
ストーリー(物語):確固たる意志と、それが生まれてきた背景
ヒストリー(歴史):売れない時代にも負けないことによって刻み込まれた時間
フィロソフィー(哲学):とにかく作り続けるのだという意識
これとある経済・経営学に使われた言葉なんですが、小説にも使えます。
キャラクターに使うなら
・ストーリー:そのキャラが作品の中で何をしたいのか。
・ヒストリー:そのキャラの過去設定。最低でも作品内での行動を行うきっかけを設定しましょう。
・フィロソフィー:そのキャラの行動理念や信念を設定します。
さて、例題を出してみましょう。
異世界トリップ物で冒険者ギルドの受付嬢がいたとします。
この受付嬢にストーリー・ヒストリー・フィロソフィーを持たせみましょう。
・ストーリー:なぜ受付嬢になったか、ここで何をしたいかを考えます。
彼女が冒険者ギルドの受付嬢になったのは冒険者となった兄が行方不明となり消息を調べるためです。
・ヒストリー:受付嬢の過去を決めます。兄を探す理由はブラコンだったら、優し兄との過ごした日々を考えたり描写します。
実は貴族で家督を受け継いで貰うために行方を探しているなら、当主である父が倒れて家督を継がないとお家断絶、もしくは乗っ取りを企てる叔父がいるなど設定します。
・フィロソフィー:受付嬢は兄の行方を捜さないといけません。間違ってもチープなチーレム物みたいに主人公と出会って「素敵! 抱いて!」と言って兄そっちのけでアピールしてはいけません。
主人公に惚れさせたいならせめて兄を見つけてから告白しようとか、兄の行方と自分の恋の葛藤を入れてください。
【ファンクショナル・アプローチを考える】
ファンクショナル・アプローチとは、経済・経営学などで使われる問題解決方法です。
問題を直接解決しようとするのではなく、一度ファンクション(機能、効用、意図)に置き換えてから解決しようと試みる方法です。
キャラクターにストーリー・ヒストリー・フィロソフィーを設定したら、次はファンクショナル・アプローチを設定しましょう。
上記の例題で出した行方不明の兄を探す受付嬢の問題は【兄の行方】です。
これを解決する方法と行動を考えます。
はいそこ! 【兄を見つけることです】と思いませんでしたか?
それだけだと【筆が止まってしまうプロットの建て方】で紹介した症状が発生しますよ。
だって、目的の兄が生きているのか死んでいるのか、どこにいるのか、何をしているのか、なぜ戻らないのか全然設定していませんよね。
え? 書いているうちに思いつく? 甘い!
たしかにそれでもいいですが、そのやり方は感想で読者から設定の練り込みが甘いや、第何話の行動が矛盾しますというツッコミが来るでしょう。
天才肌の作家さんなら矛盾を出さずにいけますが、貴方はどうです?
絶対に大丈夫だって? おめでとう、君にはもう「テリオンの小説入門」は必要ないよ。
本題に戻りますが、兄は死んでいる、そしてその死は隠蔽されていると設定します。
受付嬢が兄の行方を探そうとしたらどうなります? 妨害や警告脅迫、排除のイベントが起こりませんか?
受付嬢が取る問題解決方法はなんでしょうか?
ギルドの受付嬢になって兄を知っている冒険者から行方を聞き出すためだったり、ギルドの記録などから兄の行方を探したりするでしょう。
そして手がかりが見つかれば主人公に依頼するかもしれませんし、手がかりを見つけてしまったが故に排除されそうになった所を主人公に助けられるかもしれません。
どうですか? 使う使わないは別としてキャラクターのイメージや行動が浮かびませんか?
主人公に関係なくても、ネタが尽きた時のストックになりませんか?