設定について


 さて今回は設定について。


 ハウツー本や他の皆様の小説講座エッセイなどで設定について色々書かれていますよね?

 ファンタジー作品などでは注意事項として冒頭に設定の羅列をいれるなと言われます。

 だって、読者は物語を読みたいのです。作者からすれば僕の考えた緻密な設定をお披露目したい気分はわかります。


 でも冒頭にいれないでください。設定を読まないと世界がわからないというのはある意味貴方の描写力が低いからです。キツい言い方すれば逃げてんじゃねーよです。


 じゃあどうやればいいか、他のハウツー本などでは流れの中で説明しましょうと言いますが、より正確に言うと


【 説明を必要とするものが登場するシーンは小出しにしましょう】


 これ覚えていてください。


 どういう意味と思う人、ちょっと連想してみてください。

 貴方は初めて海外旅行にいきました。ツアーコンダクターの解説を聞きながら遺跡や観光名所をたった一日で全部回りました。

 日本に帰国しました。ここで問題です、ツアーコンダクターの観光地の解説1から10まで全部覚えていますか?


 流れの中での説明とは観光地めぐり中のツアーコンダクターの解説のようなものです。

 絶対記憶能力者でもない限りうろ覚えだったり、覚え間違いしませんか?

 つまり、流れの中で設定を説明しても小出しにしないと読者は覚えきれません。


 この海外旅行で例えるなら一日で全部回るのではなく三日間で巡ったとしましょう、初日に向かった場所はどこでどんな場所でしたか?

 多分答えられるんじゃないでしょうか? これが説明を必要とするものが登場するシーンは小出しにしましょうということです。


 設定は「読者に読んでいただくもの」ではありません。

 「読者が読みたくてたまらないときに開放してあげるもの」です。

 作者側から「読んで読んで読んで」と向かって行かないのが読者に楽しく設定を読んでもらうためのコツです。