電気グルーヴがドキュメンタリー映画「DENKI GROOVE THE MOVIE? -石野卓球とピエール瀧-」の上映を記念して、大阪・Zepp Nambaと東京・Zepp Tokyoにて計3公演のワンマンライブ「お母さん、僕たち映画になったよ。」を開催した。この記事では最終日である3月9日のZepp Tokyo公演の模様をレポートする。
ステージの幕が開くと、ピエール瀧はシルクハットをかぶってパラソルを差し、石野卓球、および開演直前に卓球のTwitterアカウントで「牛若丸剣」に改名したことがアナウンスされたサポートメンバーの牛尾憲輔(agraph、LAMA)は2人ともサングラスをして登場。巨大なLEDモニターに「コンニチワ電気グルーヴデス」という文字が映り、「ハロー!ミスターモンキーマジックオーケストラ」でライブが始まった。爆音に包まれて会場が一気に熱気を帯びる中、「KISS KISS KISS」という「Shangri-La」のフレーズが何度もインサートされ、フロアからは大歓声が。しかし彼らは「Shangri-La」を歌うことなくすぐに「Fallin' Down」に突入し、目まぐるしい展開でライブのオープニングを飾った。
以降も彼らはMCを挟まずにノンストップでパフォーマンスを続行。「SHAMEFUL」ではビデオマガジン「VOS」の連載「電気グルーヴ的こころ」で企画された「狂人ドラム大会」の様子が流れたり、「新幹線」では車内案内表示のようなフォントで「お母さん、僕たちまもなくZepp東京です。Mom, We will soon make a brief stop at Zepp Tokyo」というアナウンスが流れたりと、今回のライブのために新たに作られたこだわりの映像が楽曲を彩っていく。
「22年前の曲やるぜー! カッコいいだろー?」という卓球の声から始まった「Barong Dance」や、卓球のソロアルバム「TITLE #2+#3」の収録曲である「Love Domination」など、この日は普段レパートリーに入らないレアな楽曲や、まったく新しいアレンジによる楽曲も多く披露。卓球は機材を操りながら「水曜日だけどブルーマンデー!」「君たちも映画になりたいか!?」「牛若丸なめとったらどついたるぞ!」などと叫んでオーディエンスを煽る。またライブではひさびさとなる「TKOテクノ クイーン」の終盤では「誰だ!」のシーケンスをバックに、卓球が「月曜日に食べたお肉が 火曜日に腐ってた 手も足も手も足も出ずただうろたえるばかり」と有頂天の「一週間」を歌唱。止むことのない怒涛のビートでオーディエンスを踊らせつつ、彼らは会場を笑いで満たしていく。
終盤の「ジャンボタニシ」ではLEDモニターの上に登った瀧が気合いたっぷりに歌い上げ、「N.O.」のパフォーマンス中には卓球がマイクをフロアに向けると会場中で大合唱に。フロア仕様にアレンジされた「かっこいいジャンパー」では、最後に瀧と卓球、観客がそれぞれ頭上にタオルを掲げながら「電気グルーヴ」と何度もコールした。ここまでMCは1度も入らず、彼らは1時間半で18曲をノンストップミックスし、勢いをゆるめることなくライブ本編を終了させた。
アンコールに入ると、まずは瀧が1人で登場。続いて卓球は、牛若丸こと牛尾に手を引かれながらステージに現れ、満足げな表情で観客に話しかける。ライブ中にステージドリンクとして飲んでいた酒ですっかりほろ酔い状態になり、モニタに腰をかけてくつろぐ様子は、充実したライブを終えてリラックスしたような雰囲気。そこから約10分、卓球が脈絡なく思い付いた言葉を次々に瀧に投げかけるようなおなじみのMCが繰り広げられ、会場は爆笑の渦に。最後の「HAPPY BIRTHDAY」では曲中で「今日誕生日だって人いますか?」とフロアに問いかけ、手を挙げた観客を祝福。ライブがすべて終わると卓球は瀧の背中に飛び乗り、瀧は卓球をおんぶしたままステージを後にした。近年のワンマンとはひと味違った趣向のノンストップライブは、盛大な拍手と歓声に包まれながら終幕した。