東京大学などの国際研究チームは宇宙の始まりを説明する物理学の「大統一理論」を証明するためスイスで進めていた実験の結果をまとめた。大統一理論が予言するミュー粒子という素粒子の崩壊現象は発見できず、現在提案されている理論の多くと矛盾する結果となった。研究チームは観測感度を10倍引き上げた新たな実験を2017年から始める計画だ。
研究チームが進めていたのは「MEG実験」。電子と似た性質を持つミュー粒子が壊れて電子とガンマ線になる現象の有無を確かめていた。大統一理論では1兆に1回程度の頻度で起こるとされる。スイスの研究所で13年までの約4年間観測した2兆4千億のミュー粒子では、この現象が見つからなかった。
森俊則東大教授は「複数提案されている大統一理論に厳しい条件が課されることになり、正しい理論の候補を絞り込める」と話す。17年から始める「MEG2実験」では、3年間で25兆のミュー粒子を観測し、崩壊現象を見つけることを目指す。