母親と男性無罪確定へ 検察、有罪主張せず
大阪市東住吉区で1995年、小6女児(当時11歳)が焼死した民家火災で、再審(裁判のやり直し)が認められた朴龍晧(ぼく・たつひろ)さん(50)の公判前の三者協議が16日、大阪地裁であった。終了後、朴さんの弁護団が記者会見し、検察側は母親の青木恵子さん(52)を含め、有罪の主張をしない方針を示したことを明らかにした。朴さんの再審の初公判は4月28日に開かれる予定で、即日結審する。8月にも無罪が言い渡され、確定する見通し。
青木さんの協議は午後に開かれる。
殺人罪などに問われて有罪が確定し、服役していた朴さんらの再審開始を認めた昨年10月の大阪高裁決定を受け、大阪高検は特別抗告を断念。高検は再審でも有罪を主張する方針を示していたが、公判を担当する大阪地検は公判前の三者協議で、方針を明らかにしていなかった。
検察側は2月、火災現場にあった朴さんの軽ワゴン車の底部を調べる再調査を実施。地検はこの日の三者協議で「有罪の主張立証をしないという方針を決めました」と説明したという。
弁護団の乗井弥生弁護士は記者会見で「検察側が有罪を主張し、立証できる証拠はない。当然のことだが、評価できる」と話した。朴さんは弁護団を通じ「びっくりしました。検察が率直に事実を受け止めて、適切な対応をしてくれたものと思っている」とのコメントを出した。また青木さんは「無罪主張を認めてもらいうれしいです」とコメントした。
昨年10月の大阪高裁決定は、車の給油口からガソリンが漏れ、風呂場の種火に引火して自然発火した可能性を指摘した。【堀江拓哉】
【ことば】大阪・東住吉の女児焼死火災
1995年7月、大阪市東住吉区の民家火災で入浴中の青木めぐみさん(当時11歳)が焼死。保険金目的で放火し、めぐみさんを殺害したとして、母親の青木恵子さん(52)と内縁の夫だった朴龍晧さん(50)が殺人などの罪で起訴された。2人は裁判で無罪を主張したが、最高裁は上告を棄却し無期懲役が確定。2人は2009年に再審を請求し、大阪地裁に続いて大阪高裁が昨年10月に再審を認めた。