今回は中国のデジタルマーケティングを紹介したいと思います。
中国では携帯の普及率が人口の90%を超えて、モバイルアプリを利用したインターネットビジネスがガンガン立ち上がっています。そんな中でもデジタルマーケティングと言えば、Wechat(微信)は外せません。
ということで今回はWechatを使ったデジタルマーケティングの概要を紹介したいと思います。
Wechat(微信)とは?
ここでの詳細は割愛しますが、Wechatは中国で最も普及しているメッセージング携帯アプリで、要するに中国版LINEです。
2015年末時点で、アクティブユーザ数は6億を超えていて、中国スマートフォン保有者の90%がインストールされていると言われています。(ちなみにLINEのアクティブユーザ数は2億くらい)。
そのため、中国のデジタルマーケティングでは、Wechatが非常に重要な役割を占めます。
Wechatのマーケティングパターン
Wechatのマーケティングパターンの例を挙げてみます。
公式アカウント開設
公式アカウントを開設して、ユーザに公式アカウントを購読してもらうことで、ユーザのチャット欄に情報を発信することができます。
なお、公式アカウントには订阅号と服务号の2種類があり、大きな違いは下記の通りです。
订阅号 | 服务号 | |
情報発信回数 | 毎日1回 | 月4回に限られる |
投稿場所 | チャット購読フォルダ(订阅号)内にまとめて表示されるため、視認性が悪い(プッシュ通知なし) | 通常のチャットと同様に表示されるため、視認性が高い(プッシュ通知あり) |
アカウント開設 | 法人のみ開設可能で個人は不可 | 企業、個人どちらでも開設可能 |
その他 | オンライン決済非対応 | オンライン決済対応 |
订阅号の購読フォルダに入ると下記画像のように他のアカウントと埋もれがちなので、発信量が多いニュースメディア等でなければ、服务号にするのがいいような気がします。
ちなみに外国人の開設はどちらも不可なので、外国人の場合は中国人の助けを借りる必要があります。
最近では企業も公式アカウントに登録させようと色々な方法を使っていますが、詳しくは、別記事の事例編で紹介したいと思います。
モーメンツ(タイムライン)でバイラルマーケティング
Wechatはモーメンツ(LINEのタイムライン)で、気になる記事を紹介したり、自分の近況を報告したりすることができますが、中国ではモーメンツが爆発的に普及しています。以下、TechNodeから引用。
Momentsでシェアされているウェブページ数は1日平均で30億である。76.4%のユーザは定期的にMomentsから友人にシェアされているコンテンツをシェア・消費している。面白いことに、この数字はメッセージ送信でWeChatを利用している人の割合(67%)を上回っている。
ということで、企業的にはモーメンツで流行りそうな記事を書いて、口コミで(バイラルに)流すのがコスト的には安そうですが、当然口コミで回してもらえるだけのハイクオリティな記事が必要です。
それが無理な場合は、商品プレゼントや現金割引などの優待(紅包)とセットにして、流行させるという手法がよく使われているような気がします。
モーメンツ(タイムライン)に広告発信
2015年からWechatのタイムライン(モーメンツ)にインフィード型の広告を直接発信することができるようになりました(詳細)。Facebookの広告などと同様、細かいターゲティング広告ができるようです。
ただ、この広告はあまり使われておらず、今のところ1週間に2回までに制限されているようです。
日本人だから広告ターゲットから外れているだけかもしれないと思い、中国人の友人にも何人か聞いてみましたが、どうやら同じ状況のようでした。
公式アプリ登録
これは普通の企業には簡単にはできませんが、Wechatのアプリ内に取り込まれると手っ取り早くマーケティング展開できます。
Wechat運営会社のTencentから出資を受けている、タクシー配車の滴滴出行、オンラインショッピングの京東、口コミサイトの大衆点評などは、Wechatから直接連携して起動することが可能です。(下記画像参照)
その他
その他にも、シェイク機能を使ったマーケティングなどもありますが、詳細は、別記事の事例編で紹介します。