会見では「人間としての欲が勝った」という正直すぎる釈明も話題に〔PHOTO〕gettyimages

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もしこの一件が発覚しなければ、「男性議員の育休第一号」となった彼は、わが子を抱いて国民の前に現れていたかもしれない。過ちを犯し、夢破れた今、本当に反省しているのか。その後を追った。

■不倫相手の女性の言い分

「彼(宮崎氏)は議員を辞めて、一般の方になりました。私も一般人です。もう終わったことですから」

3月初旬、本誌の取材に対してこう語ったのは、宮崎謙介元衆院議員との不倫疑惑が報じられた、タレントの宮沢磨由(34歳)だ。

宮沢はこの事件について、「もう終わったこと」だと語った。彼女が言うように、議員辞職した宮崎氏のほうも、「もう自分は一般人で、けじめはついた」と思っているかもしれない。

しかし、不倫が発覚したときには、宮崎氏はまだ、有権者の信頼と巨額の税金を背負う国会議員だったのだ。

しかも、「男性議員にも育児休暇を」と叫んで一躍有名になった宮崎氏が、妻の妊娠中に不倫していたという不祥事は、まじめに「男の育休取得推進」に向けて活動していた一般の人々の思いも踏みにじった。この一件で、どれほど「男の育休」の普及にブレーキがかかったか、その負の波及効果は計りしれない。

宮崎氏は2月12日に謝罪・辞職表明会見を開き、「全ては私の不徳の致すところ」「全ての皆様に、そして妻と子に対し、深く、深く、お詫びを申し上げます」と陳謝。地元の有権者・支持者に対しても、一応の謝罪は口にした。

しかし、地元の京都3区では、宮崎氏が「お詫び行脚」をしている、という話はまったく聞こえてこない。彼が借りていたマンションは、すでに無人状態だ。近隣住民たちが言う。

「大騒ぎになった直後、引っ越し業者ではなく普段着姿の男が数人やってきて、白昼堂々、車にボストンバッグを積み込み去っていきました。

以前、女性と宮崎さんが一緒に歩いているのを見たことならあります。女性は宮崎さんから少し離れて歩いていた。(宮崎氏は)大きいから目立つんですよね」(60代男性)

「事件の後も、あの人の姿は全然見ないですよ。そもそも、あの報道で初めて顔と名前が一致したくらいですから。ちゃんと選挙活動してたのかどうかさえ覚えてないくらいです」(40代女性)

■お詫び行脚はしていない

東京生まれの宮崎氏は、親類が京都にいるという縁から、公募で候補者となった「落下傘候補」である。もともと地元に対する愛情は薄いのだろう。女性有権者を中心に、当初こそ「イケメン」と期待を集めたものの、

「地域の小学校の運動会なんかに出ても、最初の30分でいなくなる。お母さんたちからの人気もあっという間に急落しました」(別の地元選挙区住民)

京都自民党関係者が、こう言って憤る。

「あれから、さすがに京都市会の議員に対しては説明とお詫びをしてもらいましたが、『支持者の前でも頭を下げさせる』と言って市議が電話をしても、まったく出ない。雲隠れ状態で、支持者は皆カンカンです。もし今になってノコノコ出てきたら、完全に逆効果でしょうね。

谷垣(禎一)幹事長が、早々に『京都3区の補欠選挙には候補者を立てない』と明言したのも、宮崎が支持者に後足で砂をかけて行ってしまったから。これでは勝ち目がないと諦めたわけです」

親しかった自民党の議員たちにも、宮崎氏の動向を知る者はほとんどおらず、連絡をとることすらままならない。

「宮崎は、議員辞職した当日にLINEも退会しちゃったし、それ以降まったく連絡が取れないんです。あの騒動の最中には、彼をかばうためにカメラの盾にまでなってあげたのに、ちょっと寂しい感じですね。

数少ない最近の目撃情報によれば、もともと痩せているのが、輪をかけてげっそりしていたそうです」(自民党若手議員)

不憫なのは、まだ生後まもない宮崎氏と金子氏の長男である。本来ならば周囲のあらゆる人から祝福され、かわいがられていたはずの人生のスタートを、彼は大混乱の中で切ることになってしまった。

しかし、「無期限の育休」に入った宮崎氏が、罪滅ぼしとばかりに子育てに注力しているかというと、そんな様子もないという。

「宮崎・金子夫妻は、妊娠中も赤坂の議員宿舎に住んでいると公言して、テレビの取材まで受けていましたが、実は都内に別宅がある。宮崎も、そこにこもって子育てに専念するならまだいいんですが、そういう殊勝な話は聞きません。

あまりに彼の消息が知れないので、『海外に逃げて、ほとぼりが冷めるのを待っている』とか『奥さんと顔を合わせるのが気まずいから、各地のホテルを転々としている』なんて噂も党内で立っています」(自民党中堅議員)

金子氏が出産したのは、夫の不倫疑惑が報じられて6日後の2月5日だった。その後、宮崎氏が議員辞職する前日の同15日に退院し、すでに事務所にも顔を出している。自民党関係者が言う。

「ふだん金子さんは、誰から電話がかかってきても人前で話すタイプ。でも最近はたまに、電話が鳴ると別室に移って、扉を締め切ることがあるんです。そういうときは『ダンナからだな』と分かる。

その後、部屋の中から『まだ地元回りが残ってるでしょ!お詫び行脚してきなさいよ!あんたにはそれしかないでしょ!』『あんたは謝るのが先よ!』と怒声が聞こえてくるんです」

■離婚の可能性

生まれたばかりの長男のことを考えて、「離婚はしない」と語っているという金子氏の怒りは、相当なもの。しかし、その妻にいくら怒鳴られても、宮崎氏は「お詫び行脚」を億劫がっているようだ。

「金子さんは、もう白けている。『正直に言って、私もバカだったわ』『あんな奴に引っかからなければ……』と漏らしていたと聞きます。

気持ちは分からないではないですよ。この件さえなければ、彼女は地元の新潟では大人気だし、二階派幹部にもなれたでしょうし、ゆくゆくは少子化対策担当大臣なんかも狙えたはず。『第二の丸川珠代』になるのも夢じゃなかったんだから」(前出・自民党中堅議員)

宮崎氏が辞めた穴を埋めるため、4月24日に投開票される予定の京都3区補欠選挙では、およそ2億6000万円の費用がかかるとの試算が出ている。そのカネはもちろん、国民の税金によってまかなわれる。

「今、自民党内でもっぱら問題となっているのが『2012年問題』です。宮崎もそうですが、昨年金銭問題で離党した武藤貴也(衆院議員)、安保法制審議の勉強会で『批判的なマスコミは懲らしめるべき』と発言した大西英男(衆院議員)など、明らかに'12年12月の総選挙で初当選してきた連中の不祥事が多いんです。

選挙に勝つのはいいけれど、勝ちすぎるのも考えものですよね。バカが必ず混じるんだから」(別の自民党議員)

彼らは人ごとのように言うが、そうしたダメな議員が当選してしまったのなら、監督し教育するのも党の役目。この緩みようでは、残念ながら、第二の宮崎氏が現れる日も遠くないだろう。

「週刊現代」2016年3月19日号より