2016.03.15 10:15
2月26日、虎ノ門ヒルズで行われた「SENSORS IGNITION 2016」の最後に行われたセッション「人工知能が生み出す未来」に落合陽一、ドミニク・チェン、冲方丁、松尾豊ら人工知能にまつわるトップランナーたちが登壇。メディアアート、起業家、作家、研究者というそれぞれの立場から人工知能(AI)論を語り尽くした。
日本の人工知能研究を牽引する東京大学大学院准教授・松尾豊氏、アニメ「攻殻機動隊ARISE」シリーズの脚本を担当する作家の冲方丁氏、偏愛コミュニティ"シンクル"を開発・運営し、人工知能にも造詣が深いドミニク・チェン氏、そして自然と計算機がミックスされ分断不可能になった世界観【デジタルネイチャー】の研究を行う落合陽一氏が登壇。モデレーターは博報堂DYメディアパートナーズ・森永真弓氏が務めた。
前編「人工知能(AI)は人類をローマ時代へ引き戻す?」ではBoston Dynamics社が先日発表したヒューマノイドロボット「Atlas」を例に、人工知能を獲得することで人類は初めて"いじめても良い奴隷"を手に入れたのではないか?という提起が冲方氏によりなされた。つまり哲学や娯楽が花開いた古代ローマのような時代が再興するという可能性であり、「AIが仕事を奪う」という悲観論とは対極の見方と言える。
後編では落合氏が提唱する"魔法の世紀"についても人工知能の文脈から議論が行われ、"人間らしさ"とは何か?という核心に迫っていく。
【写真、左より】モデレーター・森永真弓氏、松尾豊氏、冲方丁氏、ドミニク・チェン氏、落合陽一氏
森永真弓氏(博報堂DYメディアパートナーズ)
ドミニク・チェン氏(情報学研究者・IT起業家)
落合陽一氏(メディアアーティスト・筑波大学助教)
松尾豊氏(東京大学 特任准教授・GCI寄付講座共同代表)
【写真右】冲方丁氏(小説家、脚本家)
四者四様の人工知能観が語られたセッション。とりわけ"シンギュラリティ"がディストピア的なイメージと共に語られることの多い人工知能であるが、社会制度や倫理観を設計し、決定していくのは人間に他ならない。様々な調査が予測するように、現行の職種の多くが今後人工知能によって代替されていく可能性は高い。一方で単純労働から解放されるということは、新たなクリエイティビティが発現する可能性があるということでもある。つまりシナリオは複数ありえるのだ。そしてそのシナリオを描くのは、"目的"を持つことのできる私たち人間に他ならない。
SENSORS Senior Editor
1990年生まれ。『SENSORS』や『WIRED.jp』などで編集者/ライター。これまで『週刊プレイボーイ』『GQ JAPAN』WEBなどで執筆。東京大学大学院学際情報学府にてメディア論を研究。最近は「人工知能」にアンテナを張っています。将来の夢は馬主になることです。
Twitter:@_ryh