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【消滅の危機?】テレビ業界はどう進化するのか ーデジタルメディアとテレビメディアの融合ー
- Mar 15, 2016
インターネットやスマホ、IoTやVRなどのテクノロジーが発展するにしたがい、既存のビジネスモデルに大きな変革が訪れようとしている。サンフランシスコでは既にUberにより市最大のタクシー会社であるYellow Cabが倒産に追い込まれ、市内で本屋さんを見つける事すら難しい。
イノベーションの波に短期間で抵抗する事は可能かもしれないが、早かれ遅かれ新しいテクノロジーでユーザーにとってより良い体験を提供するサービスが普及する。インダストリー4.0とも呼ばれるこの変革は少しずつ、でも確実に全ての産業に影響を及ぼしている。
今回は未だ大きな影響を受けていなさそうなテレビ業界を例に、今後の変革をよそうしてみよう。実はアメリカでは既に既存のテレビとデジタルメディアの融合は進んでおり、日本にも近いうちに抜本的な変革が訪れる事は間違いないだろう。
テレビは視ないがテレビコンテンツは求められている
米国には約189のケーブルテレビチャンネルがあり、2015年の6月から7月中旬のゴールデンタイムのテレビ番組の視聴率は約10%減少している。(ニールセン調べ)しかし、それは人々はテレビを利用していないということではなく、テレビの支持者視聴者たちがテレビを放映と同時に見ていないということが考えられる。
それは好きな時間に好きなコンテンツを見れるというニーズを満たしている、NetflixとHuluの登場が要因ではないだろうか。Netflixは米国だけで4200万人ものユーザーを持ち、Huluも1,000万人のユーザーを抱えている。(2015年10月)これらのサービスからは人気のテレビドラマを配信しており、人々はまだネットサービスを通してテレビコンテンツを視聴している。
現在、ケーブルテレビの解約者は視聴者全体の1億人のうち0.3%で約32万人である。人々のコンテンツに触れるプラットホームがテレビからインターネットに徐々にシフトして来ている。インターネットにテレビコンテンツが多くあるのも、配給会社がインターネット経由で有料テレビサービスを、より多く提供していきたいという背景があるのではないだろうか。それでは米国ケーブルテレビ会社はどのようにインターネットサービスに対抗していくのだろうか?
1. テレビ広告のROIデータ取得の強化
デジタルメディアによるマーケティングが成長した現在は、広告効果を数字として示すことが当たり前となってきている。そのため、広告主は以前よりROI(投資対効果)をテレビ広告に期待するようになるのではないだろうか。シミュールメディア(Simulmedia)の創設者であり代表取締役のデイブ・モルガン氏は以下のように述べている。
「テレビ業界は、よりデジタル企業のように振舞わなければならない。広告主に対して、放送局が保持している巨大な視聴者層と、その売上を最大限活用しなければならないのだ。バナーや検索広告、YouTubeなどの動画広告は、1日で10億個ものハンバーガーを売ることはできないが、テレビならそれをできる」
“TV networks need to start acting more like digital companies, marketing their massive native advantages in scale and sales impact to advertisers — banners, search ads and YouTube don’t sell burgers by the billions, but TV does, and it does it day in and day out,”
テレビ局は広告に対するROIや投資インパクトをより正確なデータを開示できるようにして、広告の放映スケジュールの組み立て、ターゲットとする視聴者により正確に届けられるようにする必要があるのではないだろうか。
2. 主要な電気通信業者とケーブルテレビ会社の統合
BI INTELLIGENCEのDigital Media Predictions2016によれば、ケーブルテレビ会社は広範囲なWi-Fiネットワークを追加する容量があり、電波受信可能な範囲を広げることができる。それははワイヤレスネットワークよりも早く、重いデータを低コストで供給することができるということである。アメリカの大手通信会社であるAT&T とVerizonはすでに多角的に捉えており、統合のオファーを試みている。通信会社とケーブルテレビの合併により、人々はモバイルでケーブルテレビ番組を視聴できるようになるだろう。
一方、ケーブルテレビ業界はアップルTV、Netflix、Hulu、Amazonプライムなどのディバイスオペレーターとストリーミング動画オンデマンドサービスのプレッシャーに押されている。ケーブルテレビ業界は収益をさらに上げるための方法を探しており、米国ペンシルベニア州にあるケーブルテレビのComcast と米国2位のケーブルテレビのTime Warner CableはVerizonのネットワークですでに合併の話しを進めている。
通信業界3位であるSprintは赤字を出し続けており、4位のT-Mobileは売上向上のための新しい機会を模索している。そのため、両社は特に買収のターゲットとなっており、ケーブルテレビとの合併は両者がもっとも差し迫ったニーズを満たすことに役立つのではないだろうか。
米衛星テレビ市場第2位のDish NetworkはT-Mobileとの合併を交渉中だと報告している。Sprintは以前にTime Warner Cableとの合併を検討していたComcastと協力するだろう。
3. デジタルメディアを活用したテレビコンテンツの制作
デジタルメディアで人気を博したコンテンツをテレビ番組で取り上げたり、テレビコンテンツにデジタルテクノロジーを活用する試みが行われている。
オンラインメディアとコマース事業を展開しているのPopSugarが運営する「テレビネットワークZリビング」は35歳〜から40歳の富裕層をターゲットとしたヘルス&フィットネスの動画チャンネルである。月間UUは4400万人を超えており、女性の間では最も協力なブランドのひとつだと言われている。このチャンネルはテレビ番組向けのコンテンツを制作を予定している。
アメリカでは深夜にLate Night Talk Showと呼ばれるスペシャルゲストを招いたトークショー (笑っていいとものような内容) の人気が高い。CBSはこの番組を既存のテレビチャンネルに加え、オンラインでも配信。ユーザーは5つのエピソード分までを無料で視れ、それ以降は有料プランに入る必要がある。
テレビをあまり見ていないユーザーにリーチ出来るだけでなく、ソーシャルメディアを通じた話題の拡散にも一役買っている。政治経済にも大きな影響を与えるこのような番組のオンライン配信の重要性はかなり高い。
例: The Late Show with Stephen Colbert – CBS.com
また、10年程前よりアメリカンアイドルに代表されるような素人参加型のオーディション番組もユーザー投票をオンラインで募っており、ネット時代の若者に最適なユーザー参加型コンテンツ制作・配信を日本よりも随分前から行っている。もちろんそれらの番組から選出されたアイドルはユーザーからの支持が既に高く、その後の活躍にも繋げやすくなっている。
パソコンとインターネットに触れながら育ったミレニアル世代・ジェネレーションZはインターネット上のコンテンツに触れる時間が長い。そのため、これらの世代に興味をもたせるコンテンツ制作が今後、カギとなってくるだろう。
参考資料:
- 米国のミレニアル世代・ジェネレーションZに効果的なブランド構築方法
- PopSugar Will Now Create Health and Fitness Content for TV
- TV is dead! Long live TV!
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