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米経済学者「消費税率引き上げは避けるべき」
3月16日 11時44分

安倍総理大臣が著名な経済学者などと意見を交わす「国際金融経済分析会合」の初会合で、ノーベル経済学賞を受賞したアメリカの経済学者、スティグリッツ教授は、世界経済の現状を踏まえ、来年4月の消費税率の引き上げは避けるべきだという認識を示しました。
ことし5月の伊勢志摩サミットに向けて、安倍総理大臣が、不透明感が増す世界経済へ対応などについて著名な経済学者と意見を交わす「国際金融経済分析会合」の初会合が、16日午前、総理大臣官邸で開かれました。
初会合には、2001年にノーベル経済学賞を受賞したアメリカ・コロンビア大学のスティグリッツ教授が講師として招かれました。
安倍総理大臣は冒頭、「伊勢志摩サミットでは世界経済情勢が最大のテーマになる。議長国として各国首脳と突っ込んだ議論を行い、世界経済の持続的な力強い成長に向けて明確なメッセージを発出したい」と述べました。そのうえで、安倍総理大臣は「世界経済に関する分析とともに、わが国が進めている経済政策・アベノミクスについてもきたんのない意見を頂きたい」と述べました。
これに対し、スティグリッツ氏は「今は極めて難しいときだ。去年は経済が弱い年だったが、ことしはより弱くなるだろう」と述べたうえで、世界の需要が不足するなかで景気を刺激するには、国際社会が協調して財政出動を行うことが必要だという認識を示しました。そのうえで、スティグリッツ氏は、世界経済の現状を踏まえれば、来年4月の消費税率の10%への引き上げは需要の創出にはつながらず、避けるべきだという認識を示しました。
政府は、17日にアメリカ・ハーバード大学のジョルゲンソン教授らを招いて2回目の会合を、また来週には2008年にノーベル経済学賞を受賞したアメリカ・ニューヨーク市立大学のクルーグマン教授を招いて3回目の会合を開くことにしており、今後の消費税率の引き上げを巡る議論の行方が焦点となっています。

スティグリッツ教授「引き上げは間違った方向」

国際金融経済分析会合に出席したアメリカ、コロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授は、会合のあと、記者団に対し、世界経済の先行きに懸念を示したうえで、日本は来年4月の消費税率の引き上げを実施すべきではないという考えを示しました。
この中でスティグリッツ教授は「今の世界経済は決してよい状況ではない。2015年は世界金融危機以降、最悪の年になったが、2016年はさらに弱くなると見込んでいる。問題の根本的な原因の1つが総需要の不足であり、伊勢志摩サミットでは需要を刺激するような政策について各国で議論してほしい」と述べました。そのうえで、スティグリッツ教授は「日本は非常に強い金融政策を実施して景気を刺激してきたが、それはもう限界に達しており、次に財政政策を取るということが重要だ。ただ、現在のタイミングで消費税率を引き上げるのは間違った方向になる。世界経済がこんなに弱くなることを予想できていた人はおらず、経済情勢が変わったなら、政策もその変化に対応していかなければならない」と述べ、世界経済の現状を踏まえると、日本は来年4月の消費税率の10%への引き上げを実施すべきではないという考えを示しました。

スティグリッツ氏とは

ジョセフ・スティグリッツ氏は、アメリカ・コロンビア大学の教授で73歳です。1995年から1997年までクリントン政権で大統領経済諮問委員会の委員長、1997年から2000年までは世界銀行の上級副総裁などを歴任し、2001年にノーベル経済学賞を受賞しました。
3年前の2013年、安倍総理大臣と会談し、アベノミクスを評価する考えを示したうえで、「成長戦略の中で、医療や教育など長期的な課題に予算を振り向け、自立的な成長を目指すべきだ」などと述べていました。

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