大型化の理由は「ある進化」で
「聴力発達など耳が進化」 英エディンバラ大などの研究
肉食恐竜ティラノサウルスは、聴力が発達するなど耳が進化したため大型化した可能性があるとの研究成果を、英エディンバラ大などのチームが、米科学アカデミー紀要に発表した。
白亜紀(約1億4500万年〜6600万年前)の末期に生息していたティラノサウルスは全長12〜13メートルと大型。一方、白亜紀前期の地層からは全長2〜3メートルの小型のティラノサウルスが見つかっていて、大型化した理由が謎だった。
チームは中央アジア・ウズベキスタンの、ティラノサウルス類がまだ見つかっていない白亜紀半ば(9200万〜9000万年前)の地層から、新種のティラノサウルス類の化石を発掘した。全長約3メートルと推計されるが、成長途中とみられる。
化石の内耳を分析すると、構造は大型化したティラノサウルスとほぼ同じで、低周波の音がよく聞こえた可能性が高かった。さらに頭部の骨の密度は大型のティラノサウルスの方が新種より低く、すかすかの状態だったため、チームは「ティラノサウルスは耳などの機能の向上によって大型化したのではないか」と指摘する。
国立科学博物館の真鍋真・生命進化史研究グループ長は「聴覚の感度が高くなったことが狩りに有利に働き、多くのえさを得て大型化する可能性を高めたのかもしれない。骨密度が低く、骨の軽量化が進んだことも大型化に役立った可能性がある」と話す。【永山悦子】