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 選挙権年齢の18歳以上への引き下げを前に、愛媛県立の全59高校(特別支援学校、中等教育学校を含む)が新年度から校則を改定し、校外の政治活動に参加する生徒に、学校への事前の届け出を義務化することがわかった。県教育委員会は昨年末、全県立高に校則の変更例を記載した資料を配布したが、「校則変更の指示はしておらず、あくまで参考資料」と説明している。

 文部科学省は昨年10月、選挙権年齢が今夏から18歳以上に引き下げられることを受け、校外でのデモなどの政治活動参加を解禁。従来は「教育上望ましくない」との理由から規制していた。届け出制については今年1月、「(生徒の政治活動は)教育目的達成の観点から必要かつ合理的な制約を受ける」との理由で容認したが、識者らからは「主権者教育の充実が求められるなか、政治的関心を育む機会を妨げかねない」などの批判的な指摘も出ていた。文科省によると、都道府県立高が一斉に届け出制を導入する例は把握していないという。

 愛媛県教委によると、県教委は昨年12月、全県立高校の教頭らを対象に開いた主権者教育に関する研修会で、「政治的活動等に対する生徒指導に関する校則等の見直しについて」と題した文書を配布。その中で、届け出を要する事項に「選挙運動や政治的活動への参加」を追加し、1週間前までの届け出を求める校則変更例を示した。

 変更の要否の判断は各校に任せることも伝えたという。しかし、変更した場合は県教委の担当課長宛てに報告するよう要請。変更例を示した文書は、この報告書のひな型としても使える書式で、校長名などを書く欄も示されていた。

 文書配布について、県教委の担当者は「(生徒の政治活動参加を規制していた)従来の文科省方針に基づく校則が高校に残っている可能性がある。文科省の方針転換に伴い、各校が校則変更による届け出制導入を検討する際、参考資料が必要と判断した」と説明する。