江戸時代以前などに平仮名や漢字の形を崩して使用されていた「くずし字」を、実在する古典から引用し、画像にして覚えるスマートフォン用無料アプリ「KuLA」を大阪大の飯倉洋一教授(日本近世文学)らのチームが開発した。
戦国武将の手紙や浮世絵に書かれた文字のほか、古い時代の地震などの災害関連資料を読む手助けとなり、国内外の研究者の関心が高まっていた。
チームによると、くずし字は1つの平仮名や漢字に対して複数のパターンがあり、使用頻度が高い278字に対し、江戸時代の本から収集した用例3千以上を収録した。
字形の学習のほか、鴨長明の「方丈記」(古活字版)など3作品を使っての読解訓練、難しい文字を利用者同士が撮影して送信し合い、読み方を教えてもらう交流機能も備えた。
現在、現物が確認されている江戸時代以前の古典や歴史資料のうち現代語で読めるものは非常に少ないといい、飯倉教授は「古典が親しまれるきっかけにもなるのではないか」と話す。くずし字を自動認識する機能も実験中で、アプリの英語版の作成も進めている。〔共同〕