球場内部も選手よりも「観客」に焦点を置いて設計された。最も目立つ特徴の一つが「コンパクト球場」だ。内野席から眺めるマウンドは、まるで鼻先にあるかのように近かった。大邱市野球場建立推進団の関係者は「初めて訪問した人々が最も驚くのは『球場がどうしてこんなに小さいのか』ということ」としながら「実際の大きさは他の球場と大きく変わらない」と説明した。小さく見える理由は単純だった。試合をもっと間近で観戦できるように、ファウルゾーンを小さくしてエキサイティングゾーン(743席)を設置したのだ。一、三塁ベースから両サイドのエキサイティングゾーンまでは18.3メートル、ファウルラインから最も近くの観客席まではわずか5メートルだ。選手たちの息遣いが感じられるように、観客と選手との距離を縮めたのだ。4、5階席の最前列にはグラウンドに向けて7.4メートル飛び出したスタンドを設置した。
座席が大きくなったことで座り心地は快適になった。座席は、横に55センチ、前の座席との間隔は85センチと、従来の球場に比べて最大で10センチ広くなっている。
球場内のどこからでも試合を観戦できるという点も魅力的だ。3階には580メートルの開放型ホール(コンコース)が設置されている。トイレや売店、子どもの遊具施設など各種の施設を利用する場合にも、頭さえ向ければ広いグラウンドが見えるようになっている。他の球場のように壁で仕切られていないためだ。ホールの真ん中には試合を中継する50型モニターも設置する予定だ。
右翼の外野席に設置されたダイヤモンド形のLED(発光ダイオード)電光掲示板は、球場横の達句伐大路からも見えるほど大きくて鮮やかだ。これ以外にも芝草席やパーティーフロア席、外野に設置された砂遊びゾーンなど、さまざまなイベント席を設けている。今後も増え続ける女性ファンのために女子トイレを男子トイレの1.7倍(便器数基準)確保した。授乳室や子どもの遊具施設もそれぞれ二つずつ用意した。
大邱市の関係者は「国内プロ野球は家族連れやカップルなどが共に楽しむエンターテインメントの性格が強い。設計段階からこうした観客の利便性に焦点を合わせた」と笑みを浮かべる。同球場では3月22日にLGとサムスンによる「こけら落としの親善試合」が開催される。