【コラム】共同マーケティング外交、韓国は遅れを取るな
今月17日夜、ソウル・徳寿宮の石垣道沿いに位置する英国大使館のそばを通り掛かった人は、カレーの匂いを嗅ぐかもしれない。この日午後6時から、大使館内の英国式パブで在韓英国商工会議所主催の「インディアン・パブ・ナイト」イベントが行われるためだ。
英国大使館と商工会議所は2?3カ月に1度ずつ英国式パーティーを開いているが、今回は初めて在韓インド商工会議所と連携し、インド・カレーとビールで両国の企業家らをもてなすイベントを開く。英スタンダードチャータード銀行やインド大使館傘下のインド文化院など、両国の企業と政府機関が意欲的に準備を進めている。カレーはインド大使館職員らの行きつけの店として知られる漢南洞のインド料理レストランから調達する。
ソウルではこのように、外国の大使館などが連携して親睦を深め国益を得るためのイベントをしばしば開く。ソウルに昨年大使館を設置したバルト3国の一つ、ラトビアが先ごろソウル市内のホテルで開催した観光セミナーがその代表例だ。この席で、駐韓ラトビア大使に続いて壇上に上がった駐韓フィンランド大使は「『バルト海の真珠』との呼び名にふさわしく、国土の至る所が宝石のように美しい」とラトビアを称賛した。
惜しみない称賛には理由がある。韓国からの直行便のないラトビアに向かう際にはフィンランドの首都ヘルシンキが主な経由地になる。そのため、両国の大使館とフィンランドの航空会社フィンエアーは共同で説明会を企画し「美しいラトビアに行くにはフィンエアーが一番速くて便利」とPRした。
フランス、オランダ、ウクライナなど欧州の大使館が12月初め、官邸の集まる城北洞で伝統料理を振る舞うイベント「クリスマスマーケット」も代表的な提携事例だ。
韓国とアジアの隣国も、こうした提携事例をベンチマーキングし、取り入れていくべきだ。各国にある約170カ所の韓国在外公館では、現地の人々を対象にしたテコンドー、Kポップ、韓国料理関連のイベントを年中開いている。だが、そのほとんどは韓国の公館、文化院による「単独イベント」だ。こうした国家レベルのマーケティングを韓国とアジア諸国の共同マーケティングに広げていくことが望ましい。
協力できるテーマはたくさんある。漢字文化圏の中国、日本などと協力し、「同じようで違う」東アジアの文字を紹介するイベントを開いたり、韓国、日本、中国が2018年から2年ごとに五輪を開く点を活用し、全世界を対象に3カ国共同で「スポーツ・観光マーケティング」を展開したりするのはどうだろうか。韓国は仏教とキリスト教が主要な宗教として共存しているため、タイやミャンマーなどの仏教国やカトリック教徒が大半のフィリピンと「宗教」をテーマに連携することも可能だろう。こうしたことを駐在国のアジア国家の公館に提案し、顔を合わせて協議すれば、アジア国家としての連帯感を高めるという付随的な効果も期待できる。
今の時代、政治・経済的に世界はブロック化され、自国だけの力で生存していくのは難しい。文化やスポーツなどをテーマにした「ソフト外交」の重要性も増している。こうした状況を踏まえ、韓国は汎(はん)アジア国家間の共同マーケティングをリードしていくべきだ。