ライアン・マッギンレー BODY LOUD
《Taylor (Black & Blue)》 2012
© Ryan McGinley
いま「アメリカで最も重要な写真家」と高く評価されるライアン・マッギンレー。ロックバンド、シガー・ロスのCDジャケットにも彼の作品が使われ、また、美術雑誌やファッション誌にインタビューや特集記事が掲載されるなど、世界はもちろん日本にもファンは多く、ますますその名前と影響力が知られるようになってきている。
マッギンレーの作品に登場する人物たちは、そのほとんどがヌードである。とくに特徴的なのが、見渡すかぎりの広大な草原のなかを疾走し、小高い木の上から飛び、雪原に横たわる全裸の被写体たちの奇妙な行為である。彼らは皆プロのモデルではなく、マッギンレーは、衣服を脱いだ彼らがふと垣間みせる一瞬のふるまいを作品にしている。マッギンレーのヌード写真は、表面的な美しさと言うよりも、日常の制約や束縛から解放された精神の自由を捉えているといえるだろう。
また、マッギンレーはイギリスのミュージシャンで、「ザ・スミス」の元ヴォーカリスト、モリッシーの大ファンとしても知られている。モリッシーの歌詞に込められた自由や反抗の精神は、マッギンレーの作品にも深く通ずるものがあるだろう。モリッシーの北米ツアーに同行して撮影した作品から、熱狂的なファンがみせる夢見る表情、その場の昂揚感などがダイレクトに伝わってくる。
日本の美術館では初となる待望の個展、約20メートルのインスタレーション《YEARBOOK》を含め、作家自選による、初期から最新作までの約50点とその全貌を紹介する。