キャラクターにいのちを吹き込む

ゲームの特性を活かしてAIを実装

Wii U『Splatoon(スプラトゥーン)』の1人用のモードで遊んでいると、タコゾネスという、ちょっと賢い敵が出てきます。女戦士アマゾネスをもじってタコゾネスというのですが、ディレクターから「プレイヤーと同じような性能を持った敵がほしい」と、ざっくりとした仕様をもらったのが、そもそものはじまりです。『Splatoon』ではプレイヤーが、インクを撃って床を塗ったり、イカに変身してインクの中に潜ったりしますが、それと同じような行動をする敵を作ろうと言うのです。


普通、ゲームに登場する敵は、パターン化されて行動することが多いように思いますが、タコゾネスに対しては、そのような動きをさせるのは避けようと思いました。パターンが見えると、とたんにモノに見えてくるというか、生きている感じがしなくなるのです。


また、敵のAI(人工知能)を実装するときは、周辺のいろんな情報を集めながら、自分の有利、不利を判断してから行動するように作ります。でも今回は、短時間で仕上げる必要があったので、AIの実装を単純化する必要がありました。そこで大いに役立ったのが、インクを塗るという、このゲーム最大の特徴です。

プレイヤーの動きを鏡写しにする敵キャラクター「タコゾネス」 プレイヤーの動きを鏡写しにする敵キャラクター「タコゾネス」

初期の仕様イメージ 初期の仕様イメージ

愛着のある特別な存在に

AIを調整中の開発画面 AIを調整中の開発画面

つまり、どこに、どれだけインクが塗られているかといった情報だけを手がかりに、タコゾネスを行動させるようにしたのです。例えば、タコゾネスの周辺に、相手のインクが塗られていれば、そのインクの中に、プレイヤーが潜んでいるかもしれないと警戒しつつ、自分のインクの色に塗り替え、周りを十分塗ることができたときは、徘徊をはじめたりするように作りました。


そうしてある程度タコゾネスができあがると、周りの人にテストプレイをしてもらったのですが、すぐに負けてしまう人が想像以上に発生しました。自分としてはいいバランスで作ったつもりだったのですが、作っているうちに私自身が上達してしまい、気づかないうちにタコゾネスを強くしすぎてしまったのです。そこで、初心者でも攻略できるようにと、弱点を設定するなど、いろいろと調整をしました。


AIを実装する仕事は、私にとっては初挑戦だったのですが、あれこれ実装を進めるうちに、タコゾネスがどんどん成長していき、まるでいのちが吹き込まれていくような体験をすることができました。なので、タコゾネスは敵ではあるのですが、私にとってはとても愛着のある特別な存在です。

社員略歴

岩田健志

岩田健志企画制作部/2012年 入社
2012年「理工系(ソフトウェア)」入社。Wii U『Splatoon(スプラトゥーン)』(2015年)では、ゲームプログラマーを務める。