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[4] 鍔(つば)のモデリング

提供者 : セルシス    更新日 : 2015/06/30   
閲覧数 : 9174回 総合評価 : 5件

鍔のモデリングです。下絵に鍔(護拳)は描いてあるのですが中心軸(X=0)からだいぶ離れたところに描いてあります。


 

これではミラーリングが出来ないのではないか?と思う方もいるでしょう。このようなケースでもミラーリングを使用してのモデリングは可能です。
そのために「ローカル軸」というものを使います、ローカル軸とはオブジェクト固有の軸です。
普通、ミラーリングでは絶対軸としての(X=0,Y=0,Z=0)が存在します。


 

ローカル軸を設定することで、絶対軸ではない特定の座標をミラーリングの軸とすることが可能です。


 

言葉で説明しても良く分からないかもしれませんので、とりあえず使ってみましょう。

1.ローカル軸座標


 

まずは完成したオブジェクトを使って説明してみます。
完成したオブジェクトは下絵の”鍔(護拳)”の位置に重なっています。このオブジェクトにローカルミラーリングの設定をしてみます。


 

(1)オブジェクトレイヤーをダブルクリックしオブジェクト設定を開きます。

[ミラーリング]→[左右を分離した鏡面]→[X]軸に適用を選びます。
そして[ローカル座標]の設定にチェックを入れて下さい。


 

チェックを入れただけでは何も変化はないように見えますが、実は鏡像がぴったり重なった状態になっているため分からないのです。


 

中心から左半分のポリゴンを削除すると鏡像が存在しているのが分かります。
これはどういう事かというと、ローカル軸ミラーリングを設定すると、ミラーリングを設定したオブジェクトの中心点がローカル座標の中心点(つまりミラーリングの中心点)として設定されたからです。
・・・まだ分かりにくいかもしれませんね?

[コマンド]パネル→[ローカル]をクリックします。表示された[ローカル座標]パネルの[形状変形]のチェックを外して、画面上の移動ハンドルを動かしてください。


 

[形状変形]のチェックを外す事で「ローカル(中心)軸」の座標を移動できます。
移動させているとなんとなく先ほど言った事が分かるようになるのではないでしょうか?
移動させているハンドルの中心がミラーリングの中心点、そのことを頭に置いて移動させてみましょう。


 


 

ローカル座標の情報を知りたい場合は、ローカル座標パネルの[詳細設定]をクリックします。


 

ちなみに、詳細設定の「グローバル座標」というのは絶対軸(X=0,Y=0,Z=0)を基準とした座標のことです。
ローカル座標(ローカル軸)…理解できたでしょうか?
ローカル座標は応用の利くテクニックですので刃のモデリングでもう一度登場します。
ここ(護拳)では中心軸のズレたミラーリングのテクニックです。
それでは続けましょう。

2.面の作成


 

鍔(護拳)の完成モデルを見るとちょっとうんざりするぐらい頂点が並んでいます。


 

ここは以前解説したラインを使ったモデリングをしていくのですが、「ローカル軸ミラーリング」をつかえば下絵のトレースも1/4で済みます。モデルを良く見るとX軸、そしてY軸にも対称なモデルですよね。
面の生成について詳しくはこちらを参照してください。

まずは右上1/4の範囲の下絵をトレースします。

(1)新規オブジェクトを作成します。


 

(2)[コマンド]パネル→[面の生成]を選択します。
[面の生成]パネルから[表]、[辺]を選びます。


 

(2)下絵を参考に辺を作成します。

どこからはじめてもいいのですが、今回は曲線部からなぞっていきます。
微調整はあとから行いますので、おおざっぱに1/4円周をなぞります。


 

(3)次に溝となる部分に2本の辺を引きます。


 


 

(4)ヌキになる部分も下絵をトレースして辺を作成します。


 


 

(5)円の径部分に辺を作成します。
辺をつなぐ時は、頂点をクリックし、つなぎたいもう片方の頂点をクリックします。


 

扇状になるように辺をつなぎます。


 

(6)[ナイフ]ツールと[移動]ツールを使い、辺の形を整えます。

まず下絵に沿っていない辺を[ナイフ]ツールで分割します。


 

[移動]ツールを選択し頂点をドラッグして下絵に合わせます。


 

なめらかな曲線になるように調整します。


 

このあとの面貼りの作業を意識して頂点の数を揃えながら形を整えましょう。


 

全体を調整して辺の完成です。


 

POINT

なめらかな形状にするために曲がりが急な所は頂点間隔を狭めましょう。


 

3.面を貼る


 

ラインでのトレースが終わったらラインツールを使用してポリゴンをライン間に貼って行きます。

(1)[コマンド]パネル→[ワイヤー]ツール→[三角形面を張る]を選択します。


 

(2)ワイヤーをドラッグして伸びるラインをドロップすると三角ポリゴンが作成されます。この時右クリックをすることで近くの頂点に自動でくっつきますので上手く利用して下さい。


 

[ワイヤー]ツールの開始場所では上手くポリゴンが貼れないと思います、これは裏側にポリゴンが作成されるだけなのですが作業上都合が悪いのでポリゴンが表に作成される場所から開始して下さい。


 

(3)表向きのポリゴンが作成された箇所からどんどんポリゴンを貼って行きます。


 

どんどんポリゴンを貼っていきます。


 

左下の部分はどのようにポリゴンを貼っていいかわからなくなると思います。
完成画像をみてみるとこの部分は格子状にポリゴンが貼られています。


 

完成図と同じようにポリゴンを貼ってみましょう。
辺をドラッグし完成画像を参考に辺の交点位置でドロップします。


 

新しくできたポリゴンの辺を上の頂点へドラッグ+右クリックマージします。


 

要領はつかめましたね?あとは繰り返すだけです。


 

下のほうも完成画像を参考してポリゴンを貼ります。


 

4.クリンナップ


 

ライン間にポリゴンを貼り終わったらオブジェクトをクリンナップしていきます。

(1)まず[頂点の位置を揃える]を使いZ軸を0に全て揃えておきましょう。

[Ctrl]キー+Aで全選択、 [選択部処理]メニュー→[頂点の位置を揃える]をクリックします。
Z軸にチェックをいれ新しい位置の数値を0と入力して[OK]を押します。


 

これですべて同一平面上に揃いました。

(2)次にミラーリングする辺の頂点の位置をそろえます。下の列のポリゴンをドラッグで選択します。


 

[選択部処理]メニュー→[頂点の位置をを揃える]をクリックし、Y軸にチェックをいれ[OK]を押します。


 


 

他にもY軸方向で揃えられる頂点があるのでここで揃えておきましょう。
矢印がついている頂点の列を囲み一つずつ[頂点の位置を揃える]をY軸に適用で行います。


 

ドラッグで囲み


 

[頂点の位置を揃える]をY軸に対して実行


 

残り列にも行います。


 

(3)垂直方向でミラーリングする頂点も揃えます。

ドラッグで頂点を囲みます。


 

X軸に対して[頂点の位置を揃える]を実行します。


 


 

同じくX軸方向で揃えられる頂点があるのでここで揃えます。


 

ドラッグで1列囲み


 

[頂点の位置を揃える]をX軸に対して実行


 

残りの列にも行います。


 

(4)頂点を揃えたら[ワイヤ]ーツール[辺消去で四角形化]を使い三角形ポリゴンを全て四角形ポリゴンに変換していきます。

[コマンド]パネル→[ワイヤー]→[辺消去で四角形化]を選択します。


 

対角線をクリックすると、2つの三角形ポリゴンが四角形ポリゴンに変わります。


 

すべて四角形ポリゴンに変換しましょう。


 

POINT
三角形ポリゴンが残ってしまうような時は、ナイフツール等で頂点を追加して調整してください。


 

(5)形が把握しやすくなったところでもう一度、ラインと下絵との頂点位置を確認してクリンナップは完了です。


 

5.ローカル軸のミラーリング


 

いよいよローカル座標ミラーリングを設定します。

(1)オブジェクト設定の[ミラーリング]→[左右を分離した鏡面]にチェックを入れ。適用軸[X]と[Y]にチェック、その下[ロ-カル軸]にもチェックを入れたら[OK]を押して下さい。


 

この状態ではまだ変化が見られないのではないかと思います。

(2)次に[コマンド]パネル→[ローカル]をクリック。
出現した[ローカル座標]パネルの[形状変形]のチェックを外し、[中心基点]のボタンをクリックして下さい。


 

これでローカル鏡面オブジェクトが見える範囲に出てきてくれたと思います。


 

(3)ハンドルを操作して鏡面の軸を設定します。

黄色い■をドラッグしオブジェクトの左下へ移動させます。


 

ローカル軸を移動させると鏡面もリアルタイムで変化します。


 

6.ミラーリングオブジェクトのフリーズ


 

それではローカルミラーリングしたオブジェクトをフリーズします。
ローカル座標ミラーリングで作成されたオブジェクトは、通常のミラーリングでフリーズされたオブジェクトと違い中心軸の頂点が自動でマージ(結合)されないので、この辺りは手動で行わなければなりません。

(1)まず[オブジェクト]メニュー→[曲面・ミラーのフリーズ]を使いフリーズします。


 


 

中心部分を拡大表示するとポリゴンがマージされていないのがわかる


 

(2)頂点を結合するために”頂点の位置を揃える”を使いローカルX軸、Y軸にあたる頂点の位置を揃えましょう。

ドラッグでローカルX軸にあたる頂点を囲みます。


 

[選択部処理]メニュー→[頂点の位置を揃える]をクリックしY軸に対して実行します。


 


 

同じようにローカルY軸にあたる頂点をドラッグで囲みし


 

[頂点の位置を揃える]をX軸に対して実行します。


 


 

これで準備完了です。

(3)最後に[オブジェクト]メニュー→[近接する頂点をくっつける]を使用すれば軸の頂点が全てマージされます。


 


 

7.立体化


 

次にこの平面オブジェクトを立体にします。
通常のZ軸ミラーリングを設定して[押し出し]ツールで少し面を押し出してフリーズすれば厚みを持ったオブジェクトが出来上がります。

(1)ミラーリングの前に頂点を揃えます。

[Ctrl]キー+Aで全選択


 

[選択部処理]→[頂点の位置を揃える]を実行します。
このときZ軸にチェック、新しい位置に「0」と入力します。


 

(2)オブジェクト設定を開き、[ミラーリング]→[左右を分離した鏡面]、Z軸にチェックを入れて[OK]を押します。


 

(3)[Ctrl]キー+Aで全選択し、[コマンド]パネル→[押し出し]ツールを選択します。

面が表になる方にドラッグして厚みを出します。
あとで修正するのでとりあえず厚みは気にしないで下さい。


 

(4)[オブジェクト]メニュー→[曲面・ミラーのフリーズ]を使いフリーズします。


 

このZ軸は自動でマージされているのを確認してみるのも良いでしょう。
通常のミラーリング、ローカルミラーリングの違いは覚えておいてください。

8.位置調整


 

この完成したオブジェクトを下絵の位置に合わせます。
X軸、Y軸に90度回転、移動ツール、拡大縮小ツールを使用して位置を合わせます。

(1)[回転]ツールを選択し、回転パネルからX軸のタブをクリック、数値を90と入力し[OK]を押します。


 


 

続いてY軸のタブをクリックし、数値は90のままで[OK]を押します。


 


 

[F3]キーを押してを正面視点へ変更します。

(2)[移動]ツールを選択しオブジェクトを下絵の側面図の位置に移動させます。


 

(3)[拡大]ツールを選択し、緑のハンドルをドラッグして縦幅を、赤のハンドルをドラッグして横幅を下絵に合わせます。


 

(4)最後に鏡面設定をZ軸に対して行います。

[F1]キーを押して側面視点に変え、右半分をドラッグで選択


 

[Delete]キーで消去します。


 

次に頂点の位置を揃えます。ドラッグで頂点を囲みます。


 

[選択部処理]→[頂点の位置を揃える]を選択します。
新しい位置に「 0」、Z軸にチェックを入れ実行します。


 

オブジェクト設定パネルを開きミラーリング→[左右の分離した鏡面]を選択しZ軸に対して実行します。


 


 

(5)完成したオブジェクトを”鍔”とリネームして編集不可&非表示にしておきましょう

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