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ネタバレも甚だしいが、これが文具ロボだ。
先日、ネットニュースで「静岡の文房具屋さんが文具ロボを作った」というのを見た。
「シリコンバレーのロボティクスベンチャーが次世代の医療用ロボを作った」とかそういう話なら普通に聞き流せるが、なんだ、文房具屋さんの文具ロボって。 自律的に動いて文字を書いたり、シャーペンの芯を見ただけで濃さを測定できたりするのか、文具ロボ。スーパーカー消しゴムを人間には不可能な速度で弾いたりするのかもしれない。 考えてたらどうしても実物の文具ロボを見たくなってきたので、件の文房具屋さんに行ってきた。 > 個人サイト イロブン Twitter:tech_k 江戸時代からの文房具屋がロボ開発文具ロボを作ったという静岡市葵区のオオイシ文具さん。
静岡駅で新幹線を降りて5分後にはもう着いてるぐらいの場所にあった。 駅前から一番賑やかそうな通りを行ったらすぐ見つかった。
パッと見た限りは普通の文房具屋さんである。
ちょっと大きめの駅の近くにある個人経営の文房具店、というくくりで言えば、全国に1000軒ぐらいはありそうな感じのお店だ。 ただ、なんか遠くから見ても店先が妙に賑やかな気がする。 ここまで店先が賑やかな文房具店って珍しい。
近寄ってみると、店頭ではワゴンを出して『受験願掛け文具フェア』や『オモシロ系消しゴムフェア』を展開していた。
伊東屋など大きいお店だとこういう店頭展開もよくあることなのだが、個人店でやっているのはなかなか珍しい。 店内はまたさらに賑やか。
で、店内に踏み込むと、店先の賑やかさがテンション落ちずにずっと中まで続いている感じ。
春先ということでか、新入学お祝い的なPOPやサクラの造花があちこちにある。 文房具花柳社中だ。 ただこの店内、見た目が賑やかなだけじゃない。 文房具の品揃えが、わりと良い所をついてるのである。 小さな文房具屋さんによくある古くからのベタな定番文房具だけでなく、最新の機能系と子供向けの面白ファンシー系が、うまくセレクトされた感じでミックスされている。 ハンズやロフトとは方向性が全く違うが、文房具マニアからすると「…心得てやがるな」というポイントを押さえているのだ。 ド定番+機能系+ファンシーのバランス。
これはちょっとお店の人に話を聞かねばなるまい。
いわゆる「この店のあるじを呼べい」ってやつだ。偉そうで申し訳ないが。 この方があるじ(社長)の大石さん。
で、ご登場いただいたのが、大石康弘さん。このオオイシ文具の六代目社長である。
「そうなんですよ、六代目です。うちは慶応元年から数えて創業150年でして」 おおー、古い。江戸時代からの文房具屋さんなのか。 「創業当時は紙類や扇子、ロウソクなんかの日用品を商ってたそうですね。で、そこから帳簿を作ったり製本をやったりしているうちに文房具屋になっていったようです」 そんながっつり由緒正しい文房具屋さんが、なぜ唐突に「文具ロボ」とか作りだしたのか。 気遣い満点! 文具ロボ「そこはまず実際に見ていただくとして…あ、じゃあそこから歩いてみてください」
大石社長に誘導されるままに店内の通路を歩いていると、いきなり「イラッシャイマセ!」とロボっぽい声で挨拶されて驚いた。 見よこの勇姿。全身文房具だ文具ロボ。
文具ロボ、商品棚にすっくと立っていた。
あらかじめネットニュースの画像で見てはいたものの、実物はまたさらに味わい深い。 製作者の大石社長あらため大石博士が真横にいるのをうっかり忘れて「わ、ポンコツだ」と口にしかけてしまうぐらいのインパクトの強さである。 イラッシャイマセー。ワカラナイコトガアッタラすたっふニきイテネ。
さらに、こんな手作り感満点なフォルムなのに、なんとお客さんを感知してお喋りも可能。(ロボの後ろにある黒い箱から声が出てる気がしたが)
かわいいロボット声で、お店の案内だけでなく、早口言葉からお年寄りの悪質商法被害注意喚起まで、幅広くこなしてしまう万能ロボなのだ。 文具ロボの自己紹介動画。
「どうですか、文具ロボ」
「…かわいいですよねー」 見る人みんながなんとなく優しい目になる、あの感じだ。
うん、お世辞ではなく、見ているうちにじんわりと保護本能をかき立てられるというか、かわいくなってくる。
かわいくて接客ができて、さらに全身のパーツは文房具。 むしろ同じおしゃべりロボでも、SoftBankのペッパーなんかより実用性は高いぐらいだ。あいつ、腕を取り外して文字とか書くのに使えないだろ。 右手はお馴染み、みんな大好きジェットストリーム。
「右手は三菱のジェットストリームで、左手がゼブラのマッキーなんですけども、途中で『あっ、パイロットの筆記具を使う場所がない』って気付いて。なので、パイロットのホワイトボード用マグネットを左目に使いました」
かわいくて実用的で、さらにメーカーへの気遣いもある。大事なポイントだ。 どんどん可愛くなってくる。もう連れて帰りたい。
他にも、肩はデビカのジェルタイプペンホルダーだったり、右目は谷川のエイト朱肉だったりと、かなりマニア的にも難易度の高いパーツが含まれている。
これらを全部同定できたら、文房具のプロと名乗っても恥ずかしくないだろう。 (僕は耳と肩の2パーツが分からなかった。正解はオオイシ文具のサイトにあります) 右の黒いロボは、シヤチハタの営業さんが持ち込んだ自社製ロボ。
ちなみに、文房具ロボの隣には、ロボの弟分である『文具ドール』も展示されている。
こちらは大石博士ではなく、オオイシ文具のお客さんや文具メーカーの営業さんが作って持ち込んだものだ。 オオイシで購入した文具を使うというレギュレーションを満たせば、誰が持ち込んでもOK。 せっかくなので、僕も今度自作して持ち込もうと思う。 各文具メーカー対抗で文具ロボヘボコンとかできないものか。
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