よりよく働く、生きる、輝く! 女性の応援サイト

河崎環「WOMAN千夜一夜物語」

中学入試、ある超難関男子校の国語問題に涙した理由

12歳男子にとって、60年前の20~30代独身女性の心理とは?

PRESIDENT WOMAN Online 著者プロフィール
河崎 環 かわさき・たまき
フリーライター/コラムニスト

河崎 環1973年京都生まれ、神奈川育ち。乙女座B型。執筆歴15年。分野は教育・子育て、グローバル政治経済、デザインその他の雑食性。 Webメディア、新聞雑誌、テレビ・ラジオなどにて執筆・出演多数、政府広報誌や行政白書にも参加する。好物は美味いものと美しいもの、刺さる言葉の数々。悩みは加齢に伴うオッサン化問題。

執筆記事一覧

文=河崎 環
この連載の一覧

2月にピークを迎える中学校入試。今年の入試を振り返る説明会で、国語問題の傾向について説明を受けた河崎さんは、ある男子校の国語問題に深く感じ入ったという。その理由とは……?

「今冬に終了した中学入試の国語における傾向ですが、物語文では特に、子どもたちとはまるっきりかけ離れた立場にある登場人物の心情を答えさせる問題が目立ちました」

“中学入試問題分析会”と題された塾の説明会で、壇上の国語科担当者が話し始めると、聴衆はしんとして聞き入った。

「某・超難関男子校では、昭和30年代の20代女性の恋愛感情や嫉妬、さらに主人公の姉である31歳女性の人生について考えさせる問題を出題しました。思春期前の現代の12歳男子たちにとっては、これは超難問です」。保護者たちのさざ波のような笑いに混じって、男子を持つのであろう一部の母たちの「そんなの、うちの子には無理……」のヒソヒソ声が聞こえてくる。

中学入試の国語問題は、学校から受験生へのメッセージ

さすがだなぁ……。私はひとり深い感慨に包まれ、その大ホールを埋めるどのお客さんにもおそらく負けないほど、シビれまくっていた。私は大学受験予備校や中学受験塾で国語講師(英語や小論文も)だったことがあって、こと国語の問題文に対してはオタクマインドがムズムズする。

受験では、入試問題はその学校から受験生へ宛てた手紙だと言われる。このような問題に取り組み、答えを出そうとしてくれる子に来てほしいと伝える、手紙なのだと。だからそういった素材文を選び、あえての傍線引きをし、作問するその学校の先生たちには、「この人物がどれほどキミ自身とかけ離れ、身近に似たような人物がいなくとも、この人物のここでの心情を、他でもないキミが背景と文脈と細部から読み取って、表現しなさい。そういうことのできる子に入学してほしいんです」という、受験生へ向けた明確な意図があるのだ。

このエントリーをはてなブックマークに追加
PRESIDENT WOMAN VOL.12
最新号 PRESIDENT WOMAN VOL.12 2016年4月号 お金を増やす10のルール 人が買っているから自分も買ってみよう、人からすすめられたから買ってみよう、そんな理由でお金を増やす方法を決めていませんか? 世界的な株安、原油価格の下落、マイナス金利……。環境はめまぐるしく変化していきます。自分の資産を守るためには、どんな環境にあっても自分の目で見て判断する、そんな自分なりのルールを持つことが大切なのではないでしょうか。

今日の花個紋

横見山丹花

よこみさんたんか
個意ことば
【積極的】
花名
山丹花

花個紋は、四季折々の花を「紋」にあらわした “その日”を祝福するための「しるし」です。

© Digimom Workers ,Inc

星座×タロットカードで占う 今月の仕事運
監修/Rieko★