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拉致地方協役員の神奈川県議にサイバー攻撃 北の核実験直後にメール

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拉致地方協役員の神奈川県議にサイバー攻撃 北の核実験直後にメール

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 拉致問題地方議会全国協議会の役員を務める神奈川県議(52)に、情報を盗み取ろうとする「標的型攻撃メール」が今年1月上旬、複数回にわたって送られ、神奈川県警サイバー犯罪対策課が不正指令電磁的記録供用容疑で捜査していることが13日、分かった。メールは実在する報道関係者を装い、拉致問題に関する取材を申し込む手口で送信。セキュリティーソフトが検知したため被害はなかったが、北朝鮮による核実験直後だけに、県警は慎重に捜査しているもようだ。

 捜査関係者などによると、県議に送信されたウイルスは「トロイの木馬」型で、感染するとパソコン内の情報が外部に流出する可能性があった。文書ファイルのアイコンに見せかけた添付ファイルに別のウイルスも仕込まれており、現在解析中。メールは海外のサーバーを経由していた。

 県議によると、メールは1月7日、実在する報道関係者をかたるフェイスブックのアカウントから県議のスマートフォンに取材を申し込む形で送信されてきた。県議が承諾の返信をすると、「取材の内容と計画」などと書かれた添付ファイル付きメールが届いた。

 その後も、やり取りを繰り返したが、添付ファイルが開封できなかったため、パソコンで受信したところ、セキュリティーソフトがウイルスを検知。情報流出の被害はなかったが、県議は何者かが報道関係者を装って情報を盗み取ろうとした疑いがあるとして同月中旬、県警に被害届を出した。捜査関係者によると、メール送信について報道関係者は「身に覚えがない」と説明しているという。

 県議は拉致問題のほか、在日ウイグル人を支援する全国組織の会長も務めている。産経新聞の取材に「開封していれば、同じ活動にかかわる仲間や支持者に被害が広がった恐れもある。狙われる覚えはないが時節柄、仲間が攻撃されていないか心配だ」と話している。

 標的型攻撃メールは、特定の組織や個人から情報を盗み取るサイバー攻撃。ウイルスが仕込まれた添付ファイルを開くなどして感染し、情報が外部に送信されたり次の攻撃に使われたりする恐れがある。