「#保育士辞めたの私だ」が、twitterで盛況(?)ですが、「#幼稚園教諭辞めたの私だ」にも光を当てていただきたいと思い、この記事を書きます。(改定版)
※かなり長いので、掲題の部分(≒本題)を読みたい方は、「激務でも薄給。残業代もない保育士と幼稚園教諭」からお読みいただければと思います。
- 「#保育士辞めたの私だ」が、twitterで盛況(?)ですが、「#幼稚園教諭辞めたの私だ」にも光を当てていただきたいと思い、この記事を書きます。(改定版)
- 激務でも薄給。残業代もない保育士と幼稚園教諭
- その他、様々な問題。
「保育園落ちた日本死ね!!!」が、大爆発して山火事みたいになっています。(バズってる。とか他に何か良い呼び方ありますか?ご存知の方がいらっしゃれば教えていただきたいと思います。)実は、数年前から保育士免許取得に必要な「選択必修科目」(事実上は必修)を2教科ほど非常勤講師として担当させていただいております。また、私自身も保育士試験合格者ということで、少し思うことがあります。(未登録なので、そろそろ登録しないといけないですね)
書くべきことは沢山あるのですが、国会でもとりあげられて、各メディアも記事を書き、多くのブログでも触れられているので、もう書くべきことはないのでは?と思う気持ちもあります。が、しかし、自分好みの記事というものにはなかなか出会えませんね。それどころか、炎上に便乗しただけの「明らかに知識不足」という記事が、Yahoo!ニュースに掲載されていたりもします。(※Yahoo!ニュースの個人オーサーは玉石混淆ですよね)
少子化対策への提言(?)は、半分は同意できるが、残り半分は同意できない。
まず、元記事に違和感を覚えたのが以下の部分。少し本題と違う気もしますが…
・・・むむむ?これ本当なんでしょうか。金があっても子供を産まない人の方が多いのではないかと思うのですよ。これも議論を始めると終わらないのですが、そもそも「晩婚化」が進んでますし。先日結婚された北川弘美さん(35)が「一姫二太郎がよい」との発言をされていましたが(引用元)「え?すごいな!!」と感想を抱きました。(※結婚は心より祝福いたしますし、3人(以上)のお子さんを授かりたいというのは、とても素晴らしいことだと思います)なぜなら、妊娠率(排卵あたりの妊娠確率)や流産率のグラフを見る限り、未経産婦(ですよね?)の北川さんがこれから3人の子供を授かるのは、なかなか大変だからだと推察するからです。また、不妊治療を行っても、流産率が35歳からどんどんあがってしまいます。一方で、子育て支援にもっと税金を投入しろというのは、よくわかる話です。もう少し社会全体で子育てにかかるコストを負担してはどうかと思います。
少子化対策したいなら、「晩婚化・未婚率の上昇」や「子育ての負担ばかりがとりあげられる風潮」をどうにかしては?
また、晩婚化や少子化の問題についても多くの方が議論していますが、少しだけ触れると、「晩婚化・未婚率の上昇」と「子育ての負担ばかりがとりあげられる風潮」の2つが気になっています。現実問題として、35歳で結婚して、36、38、40歳と2年ごとに3人産むのも、なかなか大変ではないかと推察します。(中には20代で、卵子を冷凍保存されている方もいるそうですね)また、どうも「子育ては負担」というイメージが強く「子育てを通じて成長できる」や「親としての喜びを感じられる」などのそういうプラスの面が、あまり言われていない気がします。
0歳児にどれだけの税金が投入されているかご存知ですか?
意外と知られていない、教育に投入されている費用。そもそも厚生労働省により、0歳は子ども3名に対し、保育士1名を配置しなければなりません。板橋区の場合、0歳児であれば、なんと40万円/月の税金が投入されています。
↑ソース:板橋区:保育園の運営費用負担割合と園児一人にかかる費用と保護者負担額(元記事)
とりあえず、ここは本筋の話から話が逸れるのですが、本来であれば、世帯収入50万円/月程度でも、0歳児を保育園に預けるのは不可能です。
「3歳児神話の否定」と「男女平等」
もともと、日本では「3歳神話」という呼ばれるものがありまして、以前「3歳未満で保育園に預けられた子どもは、愛着形成において問題が発生し、思春期や成人以後の恋愛や私生活で不安定になるのではないか?」と発言した心理学者がフルボッコに遭ったことがありました。理由はいくつかあります。①保育士・保育園の方々がよしとしない。②保育園で育った方々がよしとしない。③これから保育園を利用する方々がよしとしない。④「男女平等社会」「女性も活躍できる社会」を掲げる方々がよしとしない。などです。ちなみに、現職の保育士さん達と話したところ「0歳から預けられるとか、絶対良くないに決まってるよ。大きな声では言えないけどね。」というのがほとんどの保育士からの回答でした。
この問題についても、多くの方が議論されています。例のごとく、これだけで1記事書くべき内容です。興味がある方は、3歳児神話を検証する2~育児の現場から~などを読まれることをおすすめします。3歳児神話を否定することは、女性が社会に参画するためにも必要だったという経緯があります。また、今の政府も「男女平等」を口実に、「女性が働くことによる労働力の確保と、税収入のアップ」を狙っていることは、公然の事実です。ですが、税収入のアップ以上に、税支出が増えるのではないかと心配になります。そこで1つ考えたのですが、0~2歳の子供を家庭で育てている主婦には、月額10万円くらい支給したらどうですか?ダメですか?
アメリカでは、保育園の費用が大学よりも高く、コスト面から主婦が増加
ソース内では、31州が公立大学の学費<保育園費用と書かれています。さらに、以下のブログでも書かれていますが、専業主婦が特権身分として捉えられています。
ニューヨーク州だと、保育園の費用が年間1.5万ドル(1ドル110円で換算すると、165万円)だそうで、月額13.5万円程度なので主婦になって子育てされる方が多いそうです。また、2015年のアメリカの主婦率は25%だそうです。(ソース)
また、最近の20代の女性と会話していると「主婦になりたい」という人が、意外と多いです。「バリキャリ志向」と「主婦志向」の二極化が進んでいるように感じられます。私は、どちらの意見もライフスタイルの選択は自由だと思うので、問題ないと思うのですが、「フェミ」と呼ばれる方の中には「主婦志向」の方を敵視する風潮さえあるようです。「専業主婦撲滅論者」と呼ばれる人までいます。なお、上記の「高学歴女子が新・専業主婦を目指す時代」の記事内でも、私からすると高学歴女子の新・専業主婦志向は、むしろ”フェミニズムの到達点”に見える。と述べられています。かなり同意できます。
待機児童の82%は3歳未満の問題。
ご存じの方も多いかも知れませんが、ある調べによりますと、待機児童は0~2歳が82%を占めています。(ソース)また個人的な考えですが、おそらく「満3歳」(つまり、3月時点では2歳児で、4月2日~翌年4月1日に誕生日を迎える)を、2歳に加えたに含めた場合は9割ほどになるのではないかと思います。これは単純に4月1日時点で、満3歳以上であれば「幼稚園」が子どもを受け入れ可能になったり、また保育所側の基準が緩くなるからです。(最近は、満3歳児を受け入れる幼稚園も増えました。)
激務でも薄給。残業代もない保育士と幼稚園教諭
保育士が薄給なことについては、下記ブログさんがとても分かりやすくまとめてらっしゃるので、是非お読みいただきたいです。
ここまで保育士のことを述べてきたわけですが、幼稚園教諭はどうなのか…という疑問にぶち当たります。そうです、多くのブロガーや有識者(?)が「保育士」に光を当てて「幼稚園教諭」に光を当てていません。(※私、幼稚園教諭免許も持っています。上記のページでも参照されていますが、厚生労働省の「平成27年賃金構造基本統計調査」を参照すれば、民間の保育士と幼稚園教諭の給与(月額)が明らかになると思います。
保育士(月)21.9万円に対し、幼稚園教諭(月)22.9万円です。どちらも勤続年数7.5~7.6ですよ?この表を年収換算すると、保育士が323万円 幼稚園教諭が340万円ですね。(実際はこれに手当がつくと思います)
また、別ソースだと・・・
保育士の平均収入:317万円
幼稚園教諭の平均収入:347万円
この差は、保育士の非正規割合が約40%に対し、幼稚園教諭の非正規割合が約20%だからだと推察されます。ボーナスの有り無しは大きいです。(非正規割合ソース)あと、「幼稚園は4時間しか預かってくれない」などの発言も多く見られますが、近年では17時や18時まで預かってくれる園も増えています。で、ここで問題になるのが「残業代」です。(上記グラフにもありますが、幼稚園教諭の残業時間が4時間って、信じられますか?)
8:30から園児を受け入れるのであれば、8時に出勤します。(バスが出ている場合は、7;30だったりします)さらに、延長保育をしていない場合でも平日は18~20時頃まで働いている園が多いです。また、行事前になると21時まで働くことになったりもしますが、残業代が支払われないのが通例です。上記日経のソースでは、8割が残業代が支払われいません。いろいろな人と話したのを簡単に紹介したいと思います。(勿論、他の意見の方もいます)
私立保育士の友人「給与は低いけどシフト制。休みはきっちりとれるし、残業もない。ただ、休みが不定期になりがちなのが嫌だ。」
私立幼稚園の友人「給与は低いし、残業代もでない。ただ、4週7休(注釈:彼女の園では、土曜日保育をしています)あと、春夏冬にちゃんと休みがあったり、カレンダー通り休める。」
公立保育士の友人(公務員)「給与低いし、若いから私立園と変わらない。休みが不定期でシフト制だけど、非常勤のおかげで休みもとれる。」
公立幼稚園の友人(公務員)「となりの小学校の先生らもそうだけど、私も残業時間長いけど残業代でないよ!!しかも、私の市は幼稚園の民営化とかするから、市役所勤務に変われとか言われたよ。」
私立幼稚園園長「毎年、5000円/月だけ、給与アップしてるから、勤続10年(短大卒なら30歳)で額面給与は手当込で32万円くらいにはなるし、ボーナスも出る。けれど、他の園長とかに言わせれば、給与が上がるから30歳くらいで辞めてくれとか酷いことをいう人も多いわよ。」
#保育士辞めたの私だ はあるけど、 #幼稚園教諭辞めたの私だ はないみたい。幼稚園も結構なあれだけどな。
— ucchii (@lovelove_299) 2016年3月7日
幼稚園教諭の給与も少ないし、かなりのブラック業界だと思います。ですので、どうか、保育園や保育士の問題を語るときに、幼稚園の問題にも光を当てていただきたいと思います。このように書くと「自分で、待機児童の問題は2歳以下と書いてたじゃないか」と今更ながら指摘されそうですが、現在、多くの幼稚園も「幼保連携」の名のもとに、「こども園」へと移行しつつあります。また、こども園も多くの問題を抱えていますので、保育士にのみ光を当てるのではなく、幼稚園教諭や、こども園にも注目して欲しいと思います。
その他、様々な問題。
未就学児童に対しては、比較的手厚い対応をしているものの、学童期以降になると途端にサポートが受けられなくなります。
あと、個人的には保育園など未就学児用こそ夜間まで対応していますが、小学校になるととたんに補助が薄くなり、逆に学校の負担として教師にのしかかっているようにも感じます。この辺は相当に歪な感じはするんですよね。 RT @yasu_1x: @kirik →投入されているのは、どうなんだと
— やまもといちろう (@kirik) 2016年3月7日
また、保育園ですが、これから少子化になり、さらに一極集中が進んでいくと潰さないといけない地域も多数でてくると思います。保育園の数を増やすのは良いと思うのですが、潜在的に保育士資格を持っている人も多いため、新卒の保育士の数を増やすのはどうかとも思います。
さらに、保育園を建設しようとすると、近隣住民から猛反対をくらうなんてことも多数あります。私が知っている幼稚園も、隣に住宅地が整備され、数十年前から幼稚園があり、その隣に引っ越してきたにも関わらず、運動会前などに「うるさい!」と怒鳴り込んでくる住民さんに悩まされている幼稚園を知っています。
ちなみに、私は専業主夫したいのですが、どうにもこうにも無理そうです。