日影規制とは?-日影規制についてわかりやすく説明する-

建築基準法のイメージ画像byいくらチャンネル

日影規制画像デュオスカーラ品川大井byいくらチャンネルあなたが不動産に関わるとき「5−3h/4m」というような表記を目にするかもしれない。

これは日影規制という建築物の高さの制限の表記方法だが、制限の内容が非常にわかりにくい。

右の写真のマンションは日影規制を受けてこのようなデザインになっているのだ。

ここでは日影規制についてわかりやすく説明する。

 

日影規制とは?

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上記の写真は、東京スカイツリーの日影の写真だ。日影にかかると当然暗いので、日照を確保することを目的とした建築物の高さの制限がある。それが日影規制だ。

もう少し詳しく言うと、日影規制(にちえいきせい・ひかげきせい)とは、「日影による中高層の建築物の制限」の略で、建築物が周囲の敷地に日影を生じさせる場合、一定の時間内に制限することによって、日照条件に悪化を防ぎ、周囲の敷地に日照を直接的に確保しようとする規定だ。

日影規制が制定されたのは、1970年代に入って様々な用途地域においてマンションなどの高層建築が建築されるようになり、日照阻害の問題がクローズアップされ日照権訴訟が頻発したことが背景にある。

5−3h/4m

これは冬至日(日照時間が1年で一番短い12月22日ごろ)の午前8時から午後4時(北海道では午前9時から午後3時)までの間に、敷地境界線から5m〜10mまでの範囲は5時間、10m超の範囲は3時間内と日影がかかる制限時間を意味している。加えて地面から4mの高さで測定を行ったときということだ。4mというのは、だいたい住宅の2階の窓の中心部分に相当する。これは地面にできる日陰の影響ではなく、建物の中に居る人にとって光が入るかどうかを基準としているためで、隣の建物の1階の窓の高さ(1.5m)や2階の窓の高さを想定した高さで検討するからだ。日影規制はこのように【日影規制◯ー◯h/測定面の高さ◯m】で表記される。測定面の高さが低く、日影を生じさせる時間が短い区域ほど規制が厳しくなる。しかし、5m以内にある隣地の日照は考慮されない

日影規制画像byいくらチャンネル

日影規制を一覧にすると以下の通りだ。

地域または区域 制限を受ける建築物 平均地盤面からの高さ 種別 敷地境界線から5m〜10mの範囲 敷地境界線から10mを超える範囲
1 第一種低層住居専用地域
第二種低層住居専用地域
軒の高さが7mを超える建築物または地階を除く階数が3以上の建築物 1.5m (一) 3時間(2時間) 2時間(1.5時間)
(二) 4時間(3時間) 2.5時間(2時間)
(三) 5時間(4時間) 3時間(2.5時間)
2 第一種中高層住居専用地域
第二種中高層住居専用地域
高さが10mを超える建築物 4mまたは6.5m (一) 3時間(2時間) 2時間(1.5時間)
(二) 4時間(3時間) 2.5時間(2時間)
(三) 5時間(4時間) 3時間(2.5時間)
3 第一種住居地域
第二種住居地域
準住居地域
近隣商業地域
準工業地域
高さが10mを超える建築物 4mまたは6.5m (一) 4時間(3時間) 2.5時間(2時間)
(二) 5時間(4時間) 3時間(2.5時間)
4 用途地域の指定のない区域 軒の高さが7mを超える建築物または地階を除く階数が3以上の建築物 1.5m (一) 3時間(2時間) 2時間(1.5時間)
(二) 4時間(3時間) 2.5時間(2時間)
(三) 5時間(4時間) 3時間(2.5時間)
高さが10mを超える建築物 4m (一) 3時間(2時間) 2時間(1.5時間)
(二) 4時間(3時間) 2.5時間(2時間)
(三) 5時間(4時間) 3時間(2.5時間)

※()の時間は北海道での時間。

日影規制は、地方公共団体の条例で指定する日影規制対象区域にのみ適用され、どの種別(=規制)になるかは各自治体によって定められる。ただし、商業地域・工業地域・工業専用地域では日影規制の適用がない。あなたの不動産が日影規制に該当しているかはGoogleYahoo!で「◯◯市 日影規制」と検索するか、役所の建築指導課(建築審査課)の窓口で確認が必要だ。

日影規制画像byいくらチャンネル日影規制対象区域外にある建築物であっても、高さが10mを超えている物件でかつ日影規制対象区域内に日影を生じさせる場合は、当該建築物は適用対象区域内にある建築物とみなされ規制の対象となる。また建物の影が落ちるエリアの中で、複数の日影規制の制限がある場合は、最も厳しい日影規制の制限を受ける。その他、同じ敷地に2つ以上の建築物がある場合は、1つの建築物とみなして規制を適用され、建物が異なる用途区域にまたがる場合でいずれかに日影規制がかかる場合は建物全体に適用となる。

物件調査の際には、対象物件から約50m圏内の用途地域と日影規制を調べ、東・北・西側の日影規制が調査物件の規制より厳しい場合は、そのエリアに影が落ちる可能性があるため注意が必要だ。

 

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