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【政治】

首相、給付型奨学金なお慎重 来春に所得連動返還型

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 安倍晋三首相は十四日の参院予算委員会で、大学生らを対象にした給付型奨学金の導入について「さらに検討が必要だ」と慎重に対応する姿勢を強調した。返済の必要がない給付型は、経済的に厳しい当事者らが導入を求めている。だが、政府は当面、貸与型の拡充にとどめる方針だ。(我那覇圭)

 奨学金をめぐっては卒業後の返済が重荷となり、返せないケースが目立っている。日本学生支援機構によると、延滞期間が三カ月以上で、個人信用情報機関に登録した件数(ブラックリスト入り)は二〇一四年度で約一万七千件。一〇年度に登録を始めてからの累計は約五万一千件に上る。

 同委で、民主党の桜井充氏は「取り立てがかなり厳しくなっている。ブラックリストに載るとクレジットカードが作れなかったり、住宅ローンが組めなくなったりする」と指摘。返せない人は、失業者や非正規労働者が多いとした上で「返済のない奨学金を考えていく時代に入っている」と強調した。

 首相は卒業後の所得に応じ月々の返還額を決める所得連動返還型奨学金制度を一七年度から導入する方針を表明。無利子奨学金の対象者を増やす考えも示したが、給付型については「財源の確保や対象者の選定など、さらに検討が必要だ」と、慎重姿勢を崩さなかった。

 文部科学省の有識者会議が二月に大筋で了承した所得連動返還型は月々の最低返還額を二千〜三千円に設定。年収が増えれば返還額を引き上げる。年収が三百万円以下で、申請が認められれば通算十年間は返さなくてもいい。だが、その期間が過ぎれば、年収がゼロでも返還する必要がある。

 給付型は一四年八月に政府が「子供の貧困対策大綱」を定めた際、学生の支援団体などが明記を求めたが、見送られた。

 

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