2010年07月07日

[読売新聞] 大相撲中継中止 ファンの落胆に再生で応えよ(7月7日付・読売社説) (2010年7月7日)

野球賭博問題で揺れる大相撲名古屋場所について、NHKは中継放送をしないことを決めた。

テレビは1953年から、ラジオは28年から続く中継が戦時中を除き、初めて中止になる。がっかりした相撲ファンは多いことだろう。

取組終了後にダイジェスト番組を放送するというが、生放送の醍醐(だいご)味とはほど遠い。

日々稽古(けいこ)に汗を流す力士たちにとっても中継は大きな励みだったろう。賭博問題とかかわりのない力士たちは、さぞ悔しい思いをしているに違いない。

中止の理由についてNHKの福地茂雄会長は、日本相撲協会の改革の取り組みに「具体的な道筋が見えていない」こと、1万2000件に上る視聴者からの意見の6割以上が「中継をやめるべきだ」と言っていることを挙げた。

一方で、中継を強く望む声があり、賭博と無縁の力士も多いことを考えれば、中継に踏み切る選択肢もあったはずだ。

それでも中止を決めたのは、相撲協会の改革の姿勢になお疑念が残り、視聴者の厳しい声を無視できない、公共放送としてのやむを得ない判断だったのだろう。

この事態を招いた責任は、言うまでもなく相撲協会にある。

相撲協会は、大関琴光喜と大嶽親方(元関脇貴闘力)を解雇処分にした。幕内だけでも、琴光喜以外に6人の力士が出場停止、武蔵川理事長ら多数の親方も謹慎という異常な事態の中で名古屋場所を迎えることになった。

相撲協会として一定のけじめをつけた格好だが、理事長代行の人選では、村山弘義・元東京高検検事長の就任に難色を示し、あくまで角界内部からの選出を求める声が一部の親方から上がった。

この期に及んでも、内向きの論理を捨てきれない体質には、あきれるばかりだ。

力士暴行死や大麻事件、土俵近くの特別席に座る暴力団関係者が中継に映った問題など、不祥事の度に相撲協会は再発防止を誓ってきたものの、自浄能力は発揮できなかった。

相撲協会は、組織の見直しを進める改革委員会の設置を決めた。暴力団との決別や危機管理のあり方などを検討するという。改革委は外部メンバーで構成し、強力なリーダーシップを発揮して抜本改革に取り組んでほしい。

大相撲再生の第一歩を踏み出すために、改革の推進は待ったなしだ。土俵でもファンが納得する熱戦を繰り広げるしかない。
posted by (-@∀@) at 13:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 読売新聞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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