プロ野球のシーズン開幕が今月25日に迫るなかで、賭博問題が再燃している。

 昨年、巨人の3投手が無期失格処分となった問題で、新たに1軍の139試合に登板した巨人の高木京介投手が賭博に手を染めていたことがわかった。

 そしてきのう、巨人の複数の選手が自チームの公式戦の結果で金銭のやりとりをしていたことも明るみにでた。

 巨人と日本野球機構(NPB)が昨年とった対応は、甘かったと言わざるをえない。開幕直前にファンの疑念を改めて深めてしまった責任は重い。

 疑惑の視線はプロ球界全体に注がれている。NPBは、巨人と他の全11球団についても調査を尽くし、完全にうみを出し切らなくてはならない。

 きのう表面化した公式戦での金銭のやりとりは、こうだ。選手たちが1人5千円程度を出し合う。巨人が勝てば円陣で掛け声を出した選手が全額を受け取る。負ければその選手が全員に千円程度ずつを払う。4年ほど前から行われていたという。

 昨年に把握していたが、巨人とNPBは協約違反ではないとして詳細な公表をしなかった。

 金額がいくらだろうと、自チームの公式戦に多くの選手が絡んで常態的に金銭が動いていた事態は驚きだ。球界の自浄能力に、疑問符がつく。

 全球団への調査は熊崎コミッショナーが先頭に立ち、厳しい姿勢で臨むべきだ。検察や警察のOBらによる第三者委員会が必要ではないか。

 昨年の処分で巨人に科した1千万円の制裁金を、その調査費用に充てるのも一案だろう。

 野球賭博には暴力団が関与することが多い。プロ野球選手にはそれ以外にも、さまざまな形で誘いこみがあるものだ。だからこそ、各選手が厳格に身を律する努力が欠かせない。

 巨人によると高木投手は、賭博の相手方と一緒にいた人物から「何かスキャンダル情報がないか。それがあれば君の名前はもみ消せる」という趣旨の話をされたことがあったという。

 選手に近づいた者が一つのネタをもとにして、ほかのネタを探っていたのかもしれない。

 賭博で借金をつくらせ、それを取り返せるような好条件を示し、次は八百長に引き込んでいく。選手を深みにはめるそんな手法もあるという。

 球団やNPBは、全選手を対象にした教育活動の強化を進めてほしい。一切の違法行為を拒絶する、より強い意識をプロ球界全体で育てていかなくてはならない。