手足の震えや体のこわばりが起こる難病「パーキンソン病」の進行を、神経細胞内の特定のタンパク質の働きを強めて抑えることに、大阪大の望月秀樹教授(神経内科学)のチームがマウスで成功し、14日付の英科学誌電子版に発表した。
このタンパク質はネクジン。神経細胞の死滅により起きるパーキンソン病で、死滅を防ぐ機能があった。
望月教授は「ネクジンを作る遺伝子を脳内へ安全に送り込み、治療につなげる臨床研究を数年以内に始めたい」と話す。
パーキンソン病は、脳の神経伝達物質ドーパミンを出す神経細胞が減って起きる。細胞内でエネルギーを生み出すミトコンドリアの減少が、神経細胞死に関わるとされるが、詳しい原因は不明。
チームは、ミトコンドリアの生産に関わる一方、パーキンソン病患者の神経細胞内では分解が進んでいるタンパク質「PGC1α」に着目。ネクジンにPGC1αの分解を抑え、ミトコンドリアを増やす働きがあることを突き止めた。
パーキンソン病にしたマウスを使い、左脳にネクジン遺伝子を組み込み、約3週間後、生き残っている神経細胞の量を右脳と比べた。すると、左脳では約90%が生存していたが、右脳は30~40%にとどまった。
望月教授は「アルツハイマー病や筋萎縮性側索硬化症(ALS)など神経細胞の異常が関わる他の病気でも効果があるか確かめたい」とした。〔共同〕