府立高校に韓国・朝鮮語の教諭として初めて採用された桃谷高校通信制の鄭良二(チョンヤンイ)教諭(60)=富田林市=が、3月末で定年退職する。40年近い指導歴の中で、隣国の言葉を学ぶ人々は増えた。鄭さんは「隣語(りんご)」を通して互いの理解が深まることを願う。

 鄭さんは1978年、人権教育に熱心だった今宮工業高校(現・今宮工科高校)の定時制に開講した「朝鮮語」の非常勤講師に就いた。翌79年、初の「朝鮮語」教諭として府教委に採用された。府内では当時、2校ほどが別教科の時間に朝鮮語を教えていたが、外国語の選択科目にしたのは同校が初めて。当時は市販の教材や辞書が少なく、授業プリントも鄭さんの手作りだった。

 大阪は在日韓国・朝鮮人が都道府県別で最も多く、70年代ごろから小中学校で朝鮮の文化や言葉に触れる「民族学級」が増えた。それに伴って韓国・朝鮮語を教える高校も出てきて、在日・日本人を問わず、学ぶ生徒が増えていった。