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<民進党>民主、イメージ一新期待…党名消え、一部困惑

毎日新聞 3月14日(月)22時2分配信

 民主、維新両党の合流新党の名称が14日、「民進党」と決まり、民主党内では「イメージの一新」(中堅議員)に期待が高まっている。党名変更には夏の参院選をにらみ、民主党政権に対する国民の失望を一掃し、心機一転を印象付ける狙いがあるためだ。一方、政府・与党からは選挙目当てとの批判が上がった。【松本晃、田中裕之】

【図で分かりやすく】民主党の変遷

 「いい名前だ」。民主幹部は党名決定後、さばさばとした表情で語った。民主は現党名に野党連携の旗となる「立憲」を加えた「立憲民主党」を本命視していたが、維新が提案した「民進党」に表立った批判は出ていない。「今まで民主を敬遠していた層の支持も得られる」(参院議員)との皮算用からだ。

 ただ、党内には困惑も残る。「民主」は略称からも外れ、選挙で無効票が出る可能性があるほか、連合も民主の維持を要請していた。小川敏夫参院幹事長は取材に「民主党のままか、民主が一部残る形が良かったが、決まったので従う」と発言。民主関係者は「民主党への拒否感はそこまで強かったのか」と肩を落とした。

 共産党は安倍政権を「立憲主義の軽視」として対決姿勢を強めている。同党の山下芳生書記局長は民進党の名称について「特にコメントはない」と述べた。社民党の吉田忠智党首も「立憲」を支持する考えを示していたが、「立憲は難しかったのかもしれない」と指摘。民進党発足後に党首会談を行い、連携を探る考えだ。

 自民党関係者によると、安倍晋三首相は14日の党役員会で「民共(連携)であることは変わりない」と述べ、批判を強める考えをにじませた。菅義偉官房長官も記者会見で「党名よりも政策に関する議論があってしかるべきだ」と語った。

 高村正彦副総裁は記者団に「強いられた ふりして嫌な 名前捨て」と自作の川柳を披露。「有権者のアレルギーが強くて本音では嫌だった『民主』の名前を捨てることができた」と皮肉った。

 ◇「民主」票、選管次第

 存続政党となる民主党は、党名変更で看板の掛け替えなど膨大な事務作業が発生する見通しだ。夏の参院選や次期衆院選で、支持者が比例代表で「民主党」と書いて無効になるケースも想定され、党内からは「大変なことになった」との悲鳴が上がっている。

 民主が懸念するのは、参院選までに「民進党」が浸透せず、支持者が投票用紙に存在しない「民主党」と書くケースだ。比例代表は参院選は政党名か候補者名を書く非拘束名簿式、衆院選は政党名を記載する。

 旧自治省は社会党が社民党に党名変更した後の1996年衆院選で「社会」票を無効にした。総務省は今のところ、民主党票の扱いは「開票管理者(選管委員長)の判断だ」とするにとどめている。無効と判断されない場合、民主党票が「自由民主党(自民党)」か「社会民主党(社民党)」にカウントされる可能性もある。

 このほか党本部や都道府県連、国会議員・地方議員らの事務所の看板掛け替えに加え、街頭宣伝車やポスター、名刺の印刷も必要となる。党関係者は「億単位の経費がかかる」と発言。党名変更に伴いロゴマークも変えるため、党公認のゆるキャラ「民主くん」もお役ご免となる可能性がある。【影山哲也】

最終更新:3月14日(月)23時18分

毎日新聞

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