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 2005年に起きた栃木県今市市(現日光市)の小1女児殺害事件で、殺人罪に問われた無職勝又拓哉被告(33)の裁判員裁判は14日、宇都宮地裁で自白の任意性に関する審理が続いた。被告の取り調べを担当した栃木県警の警察官3人が証人として出廷し、自白の強要を否定した。

 「平手打ちをされて額を壁にぶつけてけがをした」との被告の訴えに対し、警察官は「被告が壁に額を打ち付ける自傷行為をした」と反論。「女児を殺してごめんなさい、と50回言わされた」という被告の主張についても、警察官は「言っていない」と話した。これらのやりとりは、録音・録画されていない。

 一方、殺人容疑で被告が14年6月に逮捕された際、弁解内容を記録した録音・録画が法廷で再生された。「弁解することはない」と言う被告に対し、「やったのか、やっていないのか、どっちだ」と警察官が繰り返し質問。被告は「事実に間違いない」とうつむいて答える一方、その日のうちに「殺してない」と供述を翻す場面も映し出された。

 被告人質問では、逮捕後に検事の取り調べで殺害を認める供述調書にサインした理由を問われ、「検事に『自白しなくても警察は困らない』と言われて、弁解の余地がないと思った」と説明した。(岩佐友、山下裕志)