3年間のソウル勤務を終え、3月初めに帰国した

 3年間のソウル勤務を終え、3月初めに帰国した。久しぶりに会う先輩や同僚記者に「韓国の反日感情はどうなの」と聞かれ、今更ながら隣国の実像を伝えきれなかったことを痛感させられる。

 例えば従軍慰安婦問題。ソウルでは、昨年末の日韓合意に反発する市民団体が毎週集会を開いている。団体代表らの対日批判は厳しく、それを記事にすることが多いのだが、集まっている学生たちの雰囲気はちょっと違う。

 学生たちは集会後、元慰安婦の女性たちと腕を組み、笑顔で記念撮影をする。多くは過酷な経験をしたおばあさんに寄り添い、悲劇が繰り返されないことを願う人たちで、感情むき出しの反日運動イメージとの落差は大きい。

 広島や長崎の被爆者に心を寄せ、反核運動に共感する日本人が必ずしも「反米」ではないのと似ている。お互いを分かっているようで分かっていない。それが日韓関係なのだと思う。 (植田祐一)

=2016/03/14付 西日本新聞朝刊=

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