【コラム】韓国人の自尊心を傷つける「根拠なき」司法不信

娘婿の不倫相手と疑った女子大生の殺害を指示した嶺南製粉社長夫人のケース
無期懲役が確定するも偽の診断書を提出し刑執行停止、2年前再収監
「快適な刑務所で暮らしている」との疑惑に法務部は「基準公開できない」
量刑基準のように受刑基準も公開すれば国民も納得

ユン受刑者は現在、「華城職業訓練刑務所」に収監されている。一般的には出所を間近に控えた模範囚が、裁縫や溶接、製菓・製パンなどの職業教育を受ける所として知られている。そこに71歳にもなるユン受刑者が収監されているというのはおかしい。またそこで教育を受けてもいないというのも疑わしい。新たな疑惑も浮上した。2009年に設立された同刑務所が、ほかの刑務所に比べ、暖房などの設備が優れていることも背景にある。

 「なぜユン受刑者が」と聞けば、このような答えが返ってきた。

 「名前は『職業訓練刑務所』だが、一般の刑務所の機能に、職業訓練の機能を一部追加したものだ。職業訓練を受けていない受刑者もかなりいる(刑務所側の説明)」「この刑務所の環境が快適だという報道はかなり相対的なもので、根拠のない話だ。模範囚だけを収容しているのではなく、ほかの無期懲役の受刑者もいる。受刑者に関する基準をいちいち公開することはできない(法務部〈省に相当〉の説明)」。記者が確認したところ、この刑務所は模範囚(S1)専用ではなく、ユン受刑者と同じ等級(S3)の受刑者も収容されているというのは事実だ。手続き上の問題はないとみられる。

 だが疑問は残る。ユン受刑者が主に「施設が優れている」刑務所ばかりで過ごしているといううわさは事実なのか。それは単なる偶然なのか。あるいは誰かが配慮したからなのか。こんなに運のいい人がどれだけいるのか。ユン受刑者が刑の執行を停止されたことがあるため、多くの市民はこの事件に関する疑惑を「合理的な疑念」と考えている。ユン受刑者も関する情報が「個人情報」に分類されれば、それだけ疑惑は深まるばかりだ。「量刑の基準」と同じように、「受刑の基準」も公開されるべきだ。

 このようなあらゆる事態が、法律家たちの目には「心を傷つけられた被害者遺族の意識や、大衆の感傷主義」として映るのかもしれない。

 だが、法務部の説明通り「かなり相対的なもので、根拠のない」疑念によって、韓国の司法体系に疑いの目が向けられることは、韓国国民として自尊心を傷つけられる。「かなり絶対的で根拠のある」説明をしてほしいものだ。被害者の家族を考慮することもまた、法務部のなすべきことだと考えてくれることを望む。

朴垠柱(パク・ウンジュ)デジタルニュース本部副本部長
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