3月14日 AFP】国際労働機関(ILO)は14日、世界に6700万人いる家事労働者の約90%が社会保障による保護を受けておらず、中でも移民労働者はとりわけ弱い立場に置かれているとする報告を発表した。

 ILOは今回新たに発表した報告書で、家事労働は多くの場合「軽んじられ保護されていない」と述べ「年老いたり、けがをしたりした家事労働者は、年金や適切な所得補助もないまま解雇されている」と指摘している。また同報告書によれば世界の家事労働者の80%は女性だという。

 特に現在欧州に大量に流入している人々も含め、家事労働職を探す移民の労働に対する保護は極めてまれだ。ILOによれば、家事労働者の社会保険加入を法的に義務付けている一部の国でも、移民は明確に適用外とされている。

 家事労働者の社会保障を確保するのが難しい理由としてILOは、家事労働者の入れ替わりが激しいことや、正式でない契約の下で複数の雇用主に雇われる例が多いことなどを挙げている。ILO上級エコノミストのファビオ・デュランバルベルデ(Fabio Duran-Valverde)氏は「どこの家事労働者にとっても有効な単一の保護モデルは存在しない。しかし、どんな制度の下でも適切で効果的な保障を実現するためには(任意加入ではなく)強制加入が不可欠な要素だ」と述べた。(c)AFP