日銀が導入したマイナス金利が、韓国経済に思わぬ打撃を与えている。韓国から日本へ資金が流出していると分析するリポートを韓国のシンクタンクが発表した。2月の外貨準備高も4カ月連続で減少するなど、韓国からの資金流出が止まらない。
韓国金融研究院のリポートによると、韓国人による日本の債券の買い越しが1兆5286億円に達したという。
低金利の円資金を調達し、金利の高い新興国通貨などに投資する「円キャリー取引」が背景にあるとした。今年2月に入って円高が進んだことで為替差損が生じた投資家が、資金を回収するため円を買い戻し、それがさらなる円高を生んだという構図だ。回収された円キャリートレード資金は日本の債券市場に流入したと指摘している。
リポートでは、「ウォンの円キャリートレードが他の通貨に対して大きな損失を記録している状況を考えると、韓国に流入していた日系資金の流出に留意する必要がある」と警鐘を鳴らしている。
韓国銀行が発表した2月末時点の外貨準備高は3657億6000万ドル(約41兆6000億円)と、前月から15億4000万ドル(約1750億円)も減少している。残高ベースでは昨年3月以来の低水準で、減少は4カ月連続。韓国メディアのイー・トゥデイは、「ドル急騰を阻止するために、外国為替当局がドル売りを継続したためだ」と指摘した。