岐阜大学が卒業式などで国歌斉唱をしない方針を示したことを、馳浩文部科学相が「恥ずかしい」などと批判したことに対し、憲法学者のグループが14日、東京都内で記者会見を開き、抗議声明を出したと発表した。国歌斉唱をするかどうかを決定する権限は各国立大にあるなどとして、発言の撤回を求めている。

 岐阜大は式で、前身の旧制学校の校歌斉唱を続けてきた。森脇久隆学長は2月の記者会見で、これを変えない考えを示した。

 声明には学者96人が名前を連ね、「戦前の経験を踏まえ、政治権力は学問内容や大学の自治的決定に絶対に介入してはならないと考える」と指摘。「大臣による批判は、(学問の自由を保障する)憲法23条の趣旨に違反する」などと批判した。国旗、国歌をめぐっては、下村博文前文科相が昨年6月、全国立大学長に「適切な判断」を要請している。

 信州大の成沢孝人教授は会見で「このままでは大学はなし崩し的に時の政権におもねるようになり、社会の発展に寄与できなくなる。大学に所属する者として見過ごせない」と話した。(石山英明)