3/13に、長男8歳のリクエストで、一家で「ドラえもん 新・のび太の日本誕生」を観てきました。
結論として、「新・のび太の日本誕生」は面白かったですし、リメイクものとして見ても丁寧に作られている良作だったと思います。
ただ、何点か、旧作の「日本誕生」と大きめな差分があるなあと思いまして、ちょっとそれについて分析してみたくなりました。
下記、「日本誕生」自体は27年前の作品とはいえ、現在上映中の映画についてのネタバレですので折りたたみます。特に、「のび太の日本誕生」を旧作・新作いずれも観ていない、読んでいないという方、あるいは新・日本誕生の視聴予定がある方には、下記文章を読むことをお勧めしません。
今、旧「日本誕生」がkindleで期間限定無料で試し読み出来るようなので、最低でもそちらを先に読まれることを強く推奨します。
さて。ここから先を読まれる方は、「のび太の日本誕生」の筋書きを大体ご存知である、という前提で話を進めます。
元より、細かい違いは色々あるのですが。「旧・日本誕生(以下旧作)」と「新・日本誕生(以下新作)」の、私が考える「特に大きな違い」は下記の通り。
・新作では、凍死しかけたのび太を助けるのがグリ・ドラコ・ペガ達(だけ)である
・新作では、あちらこちらでのび太のママ・パパの描写が挿入されており、随所でのび太達を心配している
・新作では、タイムパトロールが最終盤にしか登場しない。またタイムパトロールを呼んだのはドラミである
・新作では、最終的にドラえもん達がギガゾンビに反撃し、ククルを絡めてほぼ勝利している
・新作では神隠しについての説明がほぼない
まあ最後のはいいとして、ちょっと中身を分析してみましょう。
皆さんよくご存知の通り、日本誕生のボスは「ギガゾンビ」です。彼の正体は23世紀の科学者であって、ドラえもんシリーズ全てを見渡しても極めて希少な、「技術力で完全にドラえもんを上回っている」敵キャラクターです。恐らく大長編の全シリーズの中でも、「海底鬼岩城」のポセイドンに次いで強力なラスボスだったと言えるのではないでしょうか。
ドラえもんのひみつ道具の戦力は「基本的にチート」というレベルなわけで、ドラえもんが敵と戦う際、ひみつ道具の制限無しで苦戦することは滅多にありません。大長編では、例えばひみつ道具が使えない状況だったり、敵の物量が非常に大きかったりといった要素で苦戦を演出しています。
それだけに、劇中ドラえもんが「一対一」「制限無し」という状況でギガゾンビに完敗した時は、読者・視聴者のちびっこ達は強い衝撃を受けたものです。
で、まず、ここで大きな差分があります。
旧作では、ドラえもんたちは結局ギガゾンビに勝つことも、ククルたちを助けることも出来ず、脱出中に落盤で閉じ込められてしまいます。最終的に、のび太が凍死しかけたところを助けてくれたマンモス(中身はタイムパトロールの内偵)が持たせてくれたアラームを押すことで、タイムパトロールがギガゾンビの場所を掴み、時間犯罪者であるギガゾンビを逮捕してくれることで事件は解決しました。
一方の新作では。ドラえもんが一度は「一対一で完敗」する部分は旧作と同様なのですが、のび太・グリ・ペガ・ドラコの活躍でヒカリ族は解放されており、ドラえもん達はギガゾンビに対して反撃に転じます。そして、最後のギガゾンビの悪あがきを潰すのは、ドラえもんでものび太でもない、ククルの勇気と彼の石槍です。旧作ではタイムパトロールが活躍してギガゾンビを倒すところ、ギガゾンビに打ち勝つのは飽くまでドラえもん一行、特にククルなのです。
ここでは一つのトレードオフが発生しています。
旧作で描写されたのは、「タイムパトロールに頼るしかない程のギガゾンビの強大さ・強力さと大ピンチ、そしてそこからの逆転の爽快感」。また、マンモスから渡された謎の小箱が、実はタイムパトロールを呼ぶ為のキーアイテムだった、というのも、F先生一流のギミックの使い方だったと思います。
一方、新作で描写されたのは、「ギガゾンビが作ろうとした偽物の歴史が、ククルの石槍という本物の歴史に敗北する」という新たな象徴的テーマと、メインキャラクターとしてのククルのクローズアップ。一方で、ギガゾンビは相対的に若干弱体化してしまっています。
ギガゾンビが弱体化してしまったのは、正直やや残念な部分ではあります。「ドラえもんのひみつ道具でも解決できない事態があるんだ」という驚き、大ピンチ、そこが丁寧に描写されたからこそ、そこからの大逆転の爽快感がいや増すのだ、という点もあったとは思います。
とはいえ、ククルの見せ場と「自分たち自身が頑張って、問題を解決するんだ」という劇中最後のテーマ(途中、ヒカリ族の村づくりの箇所でも顔を出してくるテーマです)につなげる点では、一本背骨が通った、決して悪くないアレンジだと思いました。ピンチの描写よりもテーマ性、というスタッフのスタンスが伝わってくる部分でもあります。
一方、旧作・新作の違いはこんなところにもあります。
・新作では、凍死しかけたのび太を助けるのがグリ・ドラコ・ペガ達(だけ)である
・新作では、あちらこちらでのび太のママ・パパの描写が挿入されており、随所でのび太達を心配している
上記の通り、旧作では凍死しかけたのび太を助けにくるのは「マンモスに扮したタイムパトロール」です。「喋るマンモス」を見たのび太は、それが自分が見た幻だと考えたのですが、その正体が実はタイムパトロールだったんだ!という驚きは、旧作でも鮮烈だったと思います。
一方、新作では、タイムパトロールのストーリー上の重要性が低減している関係で、そもそも「マンモスに扮したタイムパトロール」が登場しません。のび太は、ククルに渡されていた犬笛を息も絶え絶えの状態で吹き、それを聞きつけたペガ・グリ・ドラコが彼を助けに来る、という描写が直接的にのび太を助けた要因になります。(旧作でもペガ・グリ・ドラコは助けに来てますが)
ママ・パパの描写、ラストシーンのペガ・グリ・ドラコとの別れの描写等も含めて、新作ではより「のび太と周囲との絆」というものが強く前面に打ち出されていると言っていいでしょう。ここが、「ギガゾンビの相対的弱体化と新たなテーマ性」と並ぶ、本作のもう一方のアレンジポイントだと思います。
と、まあ。長々書いて参りましたが、最後に「新・日本誕生」についての私の感想をまとめておくと、
・面白かったです
・旧作を覚えていても十分楽しめました
・アレンジも含めて、いいリメイク作だと思いました
・まあ多少弱体化したとはいえ、やはりドラえもんに完全に技術力勝ちしているところは流石のギガゾンビでした
・けど宇宙開拓史と海底鬼岩城は旧原作派ですしここは譲りません
・畑のレストランで出来たカツ丼が異常に美味しそうでした
・しずちゃんの原始人服は基本的にエロいと思います
というくらいになります。未見の方は是非映画館でのご視聴を。あと、宇宙開拓史と海底鬼岩城は断固原作漫画のご一読をお勧めします。
ということで、今日はこの辺で。