自動車を電子追跡するための試験プロジェクトの一環として、中国南部の都市、深センにおいて、20万台の自動車に電子IDが付与された。この技術を提供する中国国営企業によれば、これは同国初の取り組みであり、いずれは全車両のリアルタイム追跡が可能になる見通しだという。
国営企業の中国航天科技集団公司(CASC)は声明で、大型トラックや危険物輸送車、スクールバスなど、8種類の車両に第1弾のIDを付与したと発表している。この声明は3月9日、国営企業を監督する中央政府機関のWebサイトにも掲載された。
声明によると、この試験プロジェクトが成功すれば、電子追跡の対象は深セン市のすべての自家用車に拡大されるという。中国政府はこれまでにも、まず深センで試験プロジェクトを実施し、その後、全国展開するというやり方をとっている。
このプロジェクトは自動運転への道を開くことになるかもしれない。自動運転では、自動車は他の車両や交通インフラとリアルタイムで情報をやり取りする必要がある。一方で、このプロジェクトはインターネットユーザーの実名登録の義務化など中国政府による行き過ぎた監視をめぐる懸念も強めている。
CASCによれば、電子IDには無線自動識別(RFID)技術が採用され、各種の交通監視機器との連係が可能だという。またこの電子IDは、偽造ナンバープレートなどの違法行為の抑制や、交通スマートアプリ向けの正確なデータ収集にも役立つとみられている。
さらに各車両への電子IDの付与は、対象を絞った交通政策の実施にも寄与しそうだ。中国の自動車メーカーGreat Wall Motorのワン・フェンインCEOと全人代議員が今週提案した政策などもその1例だ。
ワン氏は7日、燃費の悪い車にはガソリンを高値で販売し、燃費の良い車には安値で販売するという提案を行った。車両の燃費に基づき、各車両にカードを発行することで実現が可能なシステムだ。
さらにワン氏は、車両に対する税金や諸費用を走行距離などのデータを基に算出する法案も提出している。
copyright (c) 2016 Thomson Reuters. All rights reserved.
(翻訳責任について)
この記事はThomson Reutersとの契約の下でアイティメディアが翻訳したものです。翻訳責任はアイティメディアにあります。記事内容に関するお問い合わせは、アイティメディアまでお願いいたします。
(著作権、商標について)
ロイター・コンテンツは、トムソン・ロイター又はその第三者コンテンツ・プロバイダーの知的財産です。トムソン・ロイターから書面による事前承認を得ることなく、ロイター・コンテンツをコピー、再出版、再配信すること(キャッシング、フレーミング、又はこれらと同等の手段による場合を含む)は明示的に禁止されています。トムソン・ロイターは、コンテンツの誤謬又は遅延、或いはコンテンツに依拠してなされたあらゆる行動に関し一切責任を負いません。 Reuters(ロイター)及びReuters(ロイター)のロゴは、トムソン・ロイター及びその関連会社の商標です。ロイターが提供するその他のメディア・サービスについてお知りになりたい場合は、http://about.reuters.com/media/をご参照ください。