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【首都スポ】

<首都スポ>小出義雄代表 東京マラソン前日 語り尽くした名伯楽

2016年2月28日 紙面から

東中60周年記念で講演する佐倉アスリート倶楽部の小出義雄代表=東京・内幸町のプレスセンタービルで(神代雅夫撮影)

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 第38回東京新聞セミナーが27日、東京・内幸町の日本プレスセンタービルで行われた。東京中日スポーツ創刊60周年記念事業第1弾として行われたこの日の講演会には、佐倉アスリート倶楽部の小出義雄代表が登場。「育成力 アスリートの心と身体のマネジメント」と題して約2時間、シドニー五輪女子マラソン金メダリストの高橋尚子さんや、バルセロナ五輪銀、アトランタ五輪銅メダリストの有森裕子さんらのエピソードを交え、ユーモアたっぷりの超ポジティブシンキング爆笑トークを繰り広げた。 (満薗文博)

 「私は1939年生まれ、4月には77歳になるが、まだかけっこで夢を追っている。小学、中学時代にいい先生と出会い、私を育ててくれた。今は私が子供たちを育てる番だ。毎日、子供たちと夢を語りながら生きていることがうれしい」

 小出さんは、まず、持論である夢を持つことの大切さを語りかけた。

 だが、深みのある話も、小出さん独特のユーモアを交えた言い回しで、会場は何度も沸いた。

 「私は勉強ができなかった代わりにカンがよくなった」「試験では、できるヤツの隣に座った」

 「Qちゃん(高橋尚子)に金メダルを獲らせるために、米国の合宿地に女房に内緒で家を買ったら、自宅に担保の査定が入ってすぐにばれた」

 「一度、鈴木博美(97年アテネ世界選手権・金メダル)が、私に食ってかかってきた。監督、Qちゃん(00年シドニー五輪・金メダル)に世界一はお前だといい、私にも世界一はお前だと言った。世界一が2人、おかしいじゃないですか」

 名伯楽は、金メダル・ロードの過程で起きたエピソードを惜しげもなくさらけ出し、そのたびに会場がドッと沸いた。

 この日は、東京マラソンの前日とあって、聴衆には出場者も含まれていた。小出さんの「銀座でマラソンを」の発想で、石原慎太郎知事の時代に始まった同マラソンも今年で10回目。そこで、小出さんは「特別授業」も施した。

      ◇     ◇      

 「私の言うことを守ったら自己記録を出せる。スタートして新宿から水道橋に向かう下りでスピードを上げたら、必ず失敗する。42キロを5キロごとに8分割し、最もスピードを上げるのは35キロからゴールまで。2番目に上げるのは30キロから35キロまで。スタートの5キロは、最も遅く走るのが正しい作戦。ワーッと飛び出していくのに乗せられて突っ走ったら、トボトボ歩く30キロ以降の終盤が待っている。ゆっくり走り出し、少しずつ、少しずつ上げていくのが自己記録への正しい道だ」

 一般ランナーに向けた小出さんの極意伝授に、会場が喜びに包まれた。さらに細かい注意事項にも話が及んだ。

 「4時間もかかる人が、スタートまで4時間も前に食事を採ったら、ゴールまでは8時間。1、2時間前におにぎり、バナナ、大福などをおなかに入れておこう。喉が渇いてからの給水では遅い。一気に大量に飲んでおなかがブカブカになってしまう。給水する時は、紙コップを両方からつまむようにしてつぶして飲む。そうすると少しずつの給水ができる」

 「私は夢で生きている。20年東京オリンピックのマラソンで教え子に金メダルを獲らせ、もう一度皆さんと喜びを分かち合いたい」

 最後に小出さんが語りかけると、会場は大きな拍手に包まれた。

◆サイン入り著書販売

 姉妹紙「東京新聞」夕刊で連載された小出義雄代表の「この道」をまとめた「ゴールへ駆けたガキ大将」(東京新聞発行、1500円+税)が2月24日から発売され、この日の講演会では直筆サイン入りの同書を販売した。小出代表は「はじめに」の冒頭で「私の指導の底流に流れるのは『非常識』である」と記し、これまでのランニング人生を振り返りながら、“小出流”の理念を書きつづっている。「おもしろいから、読んでみてよ」と小出代表。2020年東京五輪に向けた自信の1冊だ。

     ◇

 首都圏のアスリートを全力で応援する「首都スポ」面がトーチュウに誕生。連日、最終面で展開中

 

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