トップ > 中日スポーツ > スポーツ > 首都スポ > 記事

ここから本文

【首都スポ】

<首都スポ>障害者野球チーム 「市川ドリームスター」

2016年3月1日 紙面から

結成6年目のシーズンに向けて練習を重ねる市川ドリームスターの選手たち

写真

 球春間近。今月は高校野球のセンバツ甲子園大会が行われ、プロ野球も開幕する。そして、ここにもシーズン到来を待ちわびるチームが−。プロ野球中日の2軍監督、小笠原道大さん(42)がゼネラルマネジャー(GM)を務める身体障害者野球チーム「市川ドリームスター」だ。メンバー数、練習量ともに充実のオフを過ごし、ドリームスターは結成6年目のシーズンに挑む。 (ペン&カメラ=鈴木秀樹)

 市川ドリームスターが千葉県唯一の身体障害者野球チームとして誕生したのは2011年初め。当時巨人に在籍していた小笠原さんが神戸市の身体障害者チームを訪問、地元・市川市にはないことを知り、立ち上げの運びとなった。わずか数人のメンバーでドリームスターが始動したのは、その年の夏だった。

 選手たちの障害はさまざまだ。部位も違えば、先天性、後天性の違いもある。重度もまちまちなナインが、大会での勝利という同じ目標に向かい、練習を重ねる。

 「『ドリームカップ』といって、7月に静岡のチームが主催する招待大会があるんです」と、チームの指揮を執る小笠原一彦監督(49)が説明する。結成以来、毎年の目標にしてきた大会だ。一昨年からは、そこに新たな目標が加わった。ドリームスターが正式に、日本身体障害者野球連盟に加盟したのだ。連盟では春の「選抜大会」と秋の「選手権大会」、毎年ふたつの全国大会を開催している。

 「おととし、そのセンバツに“新規加入枠”で出場させてもらったんです。あの緊張感は、やはり特別ですね…」(小笠原監督)

 メンバーも着実に増え、ドリームスターは現在、総勢18人で活動している。「野球経験者も増え、レベルも上がりました」と説明するのは、少年野球のコーチ経験を持ち、チームに道具提供もしながら指導にあたっている土屋純一コーチ(47)だ。「ただ、レギュラー争いとなれば、利き手に障害がある選手などは不利になるし、当然、障害の軽い方が有利になりますよね」と、戦力充実で新たに浮き彫りになった課題にも触れた。

 身体障害者野球は参加型スポーツとして持つ意義も大きい。「引きこもりがちだった人が、野球との出会いにより、積極的に外の世界に出るようになるというケースは少なくないですからね」と笹川秀一チーム代表(44)。小笠原監督も「強ければいいのか、というジレンマはあります」と、エリート化を手放しで良しとはしていない。「それでも、こうして縁があって集まり、皆で同じ方向を向いて野球できている。以前よりも、ベンチにずっと活気があるのは何より」と選手らを見守っている。

 現在は健常者のクラブチームとも練習試合を行うなど、「以前とは見違えるほど、実力をつけてきている」(土屋コーチ)ドリームスター。将来的にはパラリンピックの種目入りを目指している身体障害者野球界と同様、着実に前進を続けている。

    ◇

 首都圏のアスリートを全力で応援する「首都スポ」面がトーチュウに誕生。連日、最終面で展開中

 

この記事を印刷する

PR情報

閉じる
中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日スポーツ購読案内 東京中日スポーツ購読案内 中日スポーツ購読案内 東京中日スポーツ購読案内 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ