Embulk をつかって検索ログを抽出する
みんなのウェディング 高井です。
先日、当社で開発した embulk-filter-query_string という Embulk のフィルタープラグインをオープンソースとしてリリースしました。今回はその Embulk のプラグインをつかって、検索ログを抽出する方法を紹介します。
Embulk のユースケースとメリット
たとえば、下記のような一般的なアクセスログがあったとします。このログは、ダミーのログを生成するスクリプトで生成したもので、よく利用される Combined Log 形式のものです。
200.198.91.50 - - [09/Mar/2016:06:34:01 +0900] "POST /search/?c=Software+Games HTTP/1.1" 200 101 "/category/toys" "Mozilla/5.0 (compatible; MSIE 9.0; Windows NT 6.1; WOW64; Trident/5.0)"
100.183.116.182 - - [09/Mar/2016:06:34:17 +0900] "POST /search/?c=Books HTTP/1.1" 200 110 "/item/software/71" "Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 6.1; WOW64; Trident/4.0; YTB730; GTB7.2; EasyBits GO v1.0; SLCC2; .NET CLR 2.0.50727; .NET CLR 3.5.30729; .NET CLR 3.0.30729; Media Center PC 6.0; .NET4.0C)"
ここから、最初の行のような検索ページへのアクセスログから検索クエリーを取り出し、分析用データベースに収めるにはどうしたらよいのでしょうか。
みんなのウェディングでは、このようなニーズを満たすために Embulk を利用しています。Embulk は、データソースからデータを読み込み、それを加工したうえで、データベースなどにロードするためのツールです。
今まで、そういったニーズのためには、個別にバッチプログラムを作成していました。そうすると、開発の手間がかかるうえに、汎用性に乏しくなってしまうという欠点がありました。
それに対して、 Embulk は、ほとんどのケースでプログラムを開発することなく、設定のみで要件を満たすことができます。また、 Embulk はプラグインアーキテクチャを採用しています。ですから、設定だけでは対応しきれない場合であっても、プラグインを開発することによって、個別の要求に対応させることもできます。
データソースの読み込み
Embulk に Web サーバーのログをデータソースとして読み込ませるためには、 apache-custom-log プラグインを利用するのが簡単です。プラグインのインストールは、 embulk コマンドを利用して行ないます。
$ embulk gem install embulk-parser-apache-custom-log
それから、 log ディレクトリに保存されている Combined Log 形式のテキストファイルを読み込むには、下記のようにYAML形式の設定ファイルを記述します。
in:
type: file
path_prefix: log/
parser:
type: apache-custom-log
format: "%h %l %u %t \"%m %r %H\" %>s %b \"%{Referer}i\" \"%{User-agent}i\""
out:
type: stdout
上記を seed.yml というファイルに保存し、 Embulk の preview コマンドを実行すると、ログファイルがどのように解釈されるかが出力されます。 Embulk の出力先にデータベースを選択していると、表示されている形式でカラムにデータがロードされるというわけです。
$ embulk preview -G seed.yml
2016-01-01 00:00:00.000 +0900: Embulk v0.8.6
...
*************************** 1 ***************************
remote-host ( string) : 200.198.91.50
remote-log-name ( string) :
request-user ( string) :
request-time (timestamp) : 2016-03-08 21:34:01 UTC
request-method ( string) : POST
request-line ( string) : /search/?c=Software+Games
request-protocol ( string) : HTTP/1.1
response-status ( long) : 200
response-bytes ( long) : 101
request-header-Referer ( string) : /category/toys
request-header-User-agent ( string) : Mozilla/5.0 (compatible; MSIE 9.0; Windows NT 6.1; WOW64; Trident/5.0)
query_string フィルター
さて、この request-line にあるクエリー文字列を抽出して、ひとつのカラムにロードしたい場合はどのようにすればいいでしょうか。そのために、 embulk-filter-query_string プラグインを利用することができます。
プラグインのインストールは、先ほどと同様に embulk コマンドを利用して行ないます。
$ embulk gem install embulk-filter-query_string
また、設定ファイルに、フィルターの設定を追加します。
in:
type: file
path_prefix: log/
parser:
type: apache-custom-log
format: "%h %l %u %t \"%m %r %H\" %>s %b \"%{Referer}i\" \"%{User-agent}i\""
filters:
- type: query_string
query_string_column_name: request-line
expanded_columns:
- {name: c, type: string}
out:
type: stdout
設定のうち、 query_string_column_name は、対象となるカラムです。このカラムにあるクエリー文字列をパースし、 expand_columns で指定されているクエリー文字列のフィールドを独立したカラムとして展開します。
ここまでできたら、また preview コマンドを実行してみましょう。 c というカラムにクエリー文字列がロードされているのが確認できます。
$ embulk preview -G seed.yml
2016-01-01 00:00:00.000 +0900: Embulk v0.8.6
...
*************************** 1 ***************************
remote-host ( string) : 200.198.91.50
remote-log-name ( string) :
request-user ( string) :
request-time (timestamp) : 2016-03-08 21:34:01 UTC
request-method ( string) : POST
c ( string) : Software Games
request-protocol ( string) : HTTP/1.1
response-status ( long) : 200
response-bytes ( long) : 101
request-header-Referer ( string) : /category/toys
request-header-User-agent ( string) : Mozilla/5.0 (compatible; MSIE 9.0; Windows NT 6.1; WOW64; Trident/5.0)
実際に運用するにあたっては、 embulk-filter-column プラグインを利用して不要なカラムを落としたり、 embulk-filter-rename プラグインを利用してカラム名を変更したりすると便利でしょう。
また、 embulk-output-redshift プラグインによってデータを RedShift に投入したり、 embulk-output-elasticsearch プラグインで Elasticsearch に投入したりすることもできます。
まとめ
Embulk の embulk-filter-query_string プラグインの紹介をしました。Embulk を利用すると、設定だけでデータを加工したうえで、色々なデータベースなどにロードすることができます。ぜひ興味のある方は、embulk-filter-query_string プラグインを触ってみてください。 また、 GitHub のイシューなどでフィードバックをいただけると嬉しいです。
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