政府は13日、木寺昌人駐中国大使(63)が交代し、後任に横井裕トルコ大使(61)を充てる方向で調整に入った。今春にも就任する見通し。横井氏は外務省で「チャイナスクール」と呼ばれる中国語研修組で中国課長や中国公使などを歴任した。南シナ海問題などで日中関係が停滞する中、中国政府に豊富な人脈を持つ専門家の起用で関係改善への意欲を示す狙いがある。
チャイナスクールからの中国大使起用は2006~10年に務めた宮本雄二氏以来。木寺氏はフランス語専攻で中国の駐在経験はなく「後任は中国要人と中国語で交渉できる人物にすべきだ」(日本政府関係者)との声が出ていた。横井氏は新大使決定に必要な中国政府の事前同意をとったうえで就任する。
14年11月の安倍晋三首相と習近平国家主席の会談を踏まえ、日中は関係改善の方向に動いたものの、最近は足踏みが目立つ。首相が国際会議などで南シナ海問題で中国の批判を繰り返していることなどに中国が不信感を募らせているもようだ。
15年11月の安倍首相と李克強首相との会談で合意した外相の相互訪問や東シナ海のガス田共同開発の協議再開などのメドは立っていない。
横井 裕氏(よこい・ゆたか)79年(昭54年)東大教養卒、外務省へ。外務報道官、13年8月トルコ大使。富山県出身、61歳。