北京=平賀拓哉
2016年3月14日07時42分
汚職摘発が厳しさを増す中国で、保身に走る官僚の間で消極的な勤務態度が広がり、問題になっている。
「今の地位を守るためには、目立つことをせず、何もやらないほうがいい。それが幹部たちの本音だ」。遼寧省撫順市の中堅クラスの女性公務員は、汚職摘発におびえる市幹部たちの心境をそう評する。
撫順市では昨年9月、当時の市長が汚職の疑いで摘発された。汚職案件を担当する共産党中央規律検査委員会の調査チームが撫順市に入った直後のことだ。女性公務員は「調査チームは抜き打ちで職場に現れ、資料を持って帰った。言われたとおりに協力するしかなかった」と振り返る。
同省には先月下旬から再調査が入り、瀋陽副市長が調査を受けている。撫順市幹部らも戦々恐々で、企業からの会食の誘いや贈答品を断るだけでなく、市が企業に事業を発注する際に必要な契約書にサインすることすら拒否している。サインをすると企業から謝礼の品が贈られ、調査チームにマークされる可能性があるからだという。
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朝日新聞国際報道部
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